1ヶ月の Tapple インターンで掴んだ 4 つのこと
サイバーエージェントの Tapple インターン生が、自走力の段階的定義やインターン生としての発言技術など、エンジニアリング実践における重要なマインドセットを共有した。
キーポイント
自走力の多段階定義と到達目標
単なる実装能力(Lv1)から、チーム全体のボトルネック解消や視点の多様性を持つこと(Lv2)までを定義し、インターン期間中はその中間である Lv1.2 の達成を目指した。
インターン生としての発言技術
「差し出がましい」という不安に対し、自分の考えを持って質問や提案を行う重要性を説き、立場に関わらず建設的な議論に参加する姿勢の必要性を強調している。
迷った時の思考法と実践成果
プロジェクト進行における不確実性に対し、チーム視点で浮き玉を見つけることで解決策を見出し、1 ヶ月間で 24 本の PR を提出し、42 名の社員と協働する成果を上げた。
提案時のリスク軽減と対等な議論
伝え方を工夫し、担当範囲のコードを誰よりも深く調べることで、インターン生でも差し出がましくなく対等に議論に参加できる。
迷いの正体は深掘り不足
迷いはトレードオフ調査や設計意図の理解不足に起因するため、最大限調べた上でメンターへ確認する姿勢が重要である。
マッチングアプリ開発の複雑さ
ユーザーの状態とアクションが掛け合わさる複雑なロジックこそが、この分野の開発における醍醐味となっている。
多様な職種と層の厚いチーム構成
PMからDS、マーケティングまで幅広い職種にスペシャリストやマネージャーが在籍し、一人依存を避けた安定したチーム体制が構築されている。
重要な引用
「この 1 ヶ月では、まず Lv 1 の到達を目指し、さらに Lv 2 へ向かう一歩目として Lv 1.2 を目標に設定しました」
「チームの中で自分がどう動けばプロジェクトが前に進むか」を考える視座はとても大事な技術だと身をもって感じました
「現状はこうです」「この実装だとこうなります」と根拠のある発言ができるようになります。結果として、「聞いた方が早い」ではなく「自分の意見を言った方が議論が前に進む」という状態に変わっていきました。
迷いの正体を突き止めれば、やるべきことは明確になります。
一人に依存していないからこそチームとして安定感がある
技術だけでなく「エンジニアとしての考え方」を教わりました
影響分析・編集コメントを表示
影響分析
この記事は、若手エンジニアやインターン生に対して、技術力だけでなく組織内での振る舞いやマインドセットの重要性を具体的に示す貴重なケーススタディです。特に「自走力」を数値化・段階化した定義は、育成現場における評価基準や目標設定の参考として広く活用できる実用的な知見を含んでいます。
編集コメント
技術的な新機軸というよりは、エンジニアリング組織における人材育成やマインドセットの重要性を説く実務寄りの記事です。若手エンジニアの成長ロードマップ策定やインターン生指導の参考資料として有用です。
はじめに
はじめまして。金沢工業大学 情報工学科 2 年の高岡己太朗です。
大学では Android 開発を中心に個人開発やインターンに取り組んできました。
Android の開発歴はおよそ 2 年になります。
今回、CA Tech JOB を通じてサイバーエージェントの Tapple に参加しました。
この記事では、読者の皆さんに持ち帰ってもらいたい 4 つのテーマ を軸にお伝えします。
- 自走力の定義
- インターン生の立場で意見を言う技術
- 迷ったときの思考法
- Tapple の魅力
インターンの概要
期間は 2026 年 3 月 3 日から 3 月 31 日までの約 1 ヶ月間です。
担当した施策は主に 2 つ。メッセージ送信取り消し機能、あしあと機能です。
いずれもユーザーに直接届く機能であり、実装だけでなく仕様の議論やログ設計にも深く関わりました。
【図表:インターン期間中の定量データ】
項目
数値
PR 数
24 本 ( 内マージ 22 本 )
追加行数
1,724 行
レビューコメント
84 件
関わった社員数
42 名
ランチをご一緒した社員数
25 名
施策詳細
- 送信取り消し施策:Tapple アプリのメッセージ機能に送信取り消し機能の実装
- あしあと施策:Tapple アプリに自分のプロフィールを見た人がわかる機能の実装
自走力の定義
メンターの 池津 さんから「この1ヶ月で何を達成したいか」と聞かれ、自走力を挙げました。
しかし、「自走力」とは何か。漠然とした状態でした。
そこで、池津 さんとの対話の中で、自走力を2段階に分けて定義しました。
自走力の定義
- Lv 1
- 1 人で実装・工数見積もり・提案ができる
- レビューを根拠持って行う
- 質問の際、自分の考えを持ち、判断ができる
- Lv 2
- その人が居ればチームがスムーズに回る
- チーム全体の視点と担当職種の視点の 2 つから意見ができる
- チーム全体でのボトルネックを見つけ、解消する方向に働きかける
この定義は、自分の現在地を測る物差し として非常に有効でした。
この 1 ヶ月では、まず Lv 1 の到達を目指し、さらに Lv 2 へ向かう一歩目として Lv 1.2 を目標に設定しました。
- 自分のAndroid実装だけでなく、チームとしての浮き玉を見つける
- チーム全体がスムーズに前に進めるように働きかける
これらができた時、Lv 1.2 に到達を実感しました。
「チームの中で自分がどう動けばプロジェクトが前に進むか」を考える視座はとても大事な技術だと身をもって感じました。
インターン生の立場で意見を言う技術
「インターン生が仕様に口を出すのは差し出がましいのではないか」
「正解を持っている人に聞く方が効率的」
提案をする時、僕は上記の 2 つの懸念を感じていました。
しかし、チームメンバーとして所属している以上、提案をする必要があります。
メンターにも相談しつつ、解消しようと取り組んだ結果、2 つのことが大事だとわかりました。
伝え方の選択をできるようになる
これは、「インターン生が仕様に口を出すのは差し出がましいのではないか」という懸念の解消法です。
意見の中身以前に、コミュニケーションの方法で印象は大きく変わります。
- オフラインとオンラインは、緊急性や相手の状態を見て使い分ける。
- チャットではテキストだけだと背景が伝わりにくいので、コードブロックや見出しを使って構造化する。
- Slackではリアクションだけで済ませず「ありがとうございます」とテキストで返す。
こうした小さな丁寧さの積み重ねだけで、差し出がましく映るリスクは大きく軽減されます。
担当範囲のコードを誰よりも調べる
これは、「正解を持っている人に聞く方が効率的」という懸念の解消法です。
全コードを把握するのは無理でも、今の施策で関わるページや機能の影響範囲は、議論の前に徹底的に読み込みました。
ドメイン知識や歴史的背景では社員に負けます。それは当然です。
しかし、「現状のコードがどうなっているか」だけは誰にも負けない状態を目指しました。
そうすると「現状はこうです」「この実装だとこうなります」と根拠のある発言ができるようになります。結果として、「聞いた方が早い」ではなく「自分の意見を言った方が議論が前に進む」という状態に変わっていきました。
インターン生という立場だから意見を言えない、ということはありません。
伝え方を整えて、コードという事実を握る。この 2つを行うことで、インターン生でも対等に議論に参加できると学びました。
迷ったときの思考法
約1ヶ月の開発の中で、何度も「どちらの実装にすべきか」「この設計で合っているのか」と迷う場面がありました。その中で得た最大の気づきは、迷いは深掘り不足 だということです。
迷いには2段階の構造があると思っています。
まず、各選択肢のトレードオフを十分に調査できていない段階。メリット・デメリットを徹底的に洗い出せば、大抵はどちらかに倒せます。
それでも判断できないなら、一段上の前提「そもそも何を実現したいのか」の理解が甘いということです。
KMP関連の設計で迷ったとき、メンターの 池津 さんに「なぜ迷っているのか」を言語化するよう促されました。
整理してみると、迷いの原因は選択肢の多さではなく、トレードオフの調査不足でした。さらに掘り下げると、そもそもの設計意図への理解が浅かったことに行き着きました。迷いの正体を突き止めれば、やるべきことは明確になります。
ただし、インターン生には背景知識の壁があります。社員と同じ精度でトレードオフを判別するのは現実的には難しいです。だからこそ、自分の中で最大限調べて考えた上で、最後に「僕の考慮漏れはないですか?」とメンターに確認する。これは必要な行動だと思います。一番避けるべきは、よくわからないまま迷った状態で止まることだと学びました。
環境が整っている
Tapple は制度面・技術面・組織面のすべてにおいて環境が整っていると感じました。ランチ制度では社員の方と気軽にご飯に行けます。
技術面でも Maestro や Molecule といった技術を積極的に採用していて、Compose 化もほとんど完了しています。社内イベントもあり、インターン生でも孤立しない雰囲気がありました。
ユーザー対ユーザーの複雑さ
マッチングアプリでは、2人のユーザーの状態の組み合わせが常に発生します。例えば、「あしあと」機能の実装においては、「ユーザーAはブロック済み、ユーザーBはいいかも済みでプライベートモード」といった複雑な状態を考慮する必要がありました。
「いいかも」「いまいち」「ブロック」「通報」「ありがとう」といったアクションと、プライベートモードやマッチ済み、いいかも済みといった各ユーザーの状態が掛け合わさるため、クライアント側でも考慮すべきことが非常に多いです。非常に難しいけれど、非常に面白い。この複雑さこそがマッチングアプリ開発の醍醐味だと感じました。
人材が豊富
PM(プロジェクトマネージャー)、デザイナー、iOSエンジニア、Androidエンジニア、バックエンドエンジニア、DS(データサイエンティスト)、マーケティングなど、さまざまな職種にしっかりとした人員が揃っています。年代も若手からベテランまで幅広く、スペシャリスト寄りの方もいればマネージャー寄りの方もいます。どのタイプにも複数人が在籍しており、一人に依存していないからこそチームとして安定感があります。私がインターン中に質問や相談をしやすかったのも、この層の厚さがあったからこそだと感じました。
おわりに
約1ヶ月間、本当にお世話になりました。メンターの池津さんからは、技術だけでなく「エンジニアとしての考え方」を教わりました。レビュアーの皆さんには、レビューとコメントを通じて、コードの品質とは何かを学ばせていただきました。Tappleチームの温かい雰囲気があったからこそ、インターン生である私自身も臆することなく踏み込むことができました。
最後に、この記事を読んでくださっている学生エンジニアの皆さんへ。ここまで書いたTappleの魅力に少しでも共感した方には、ぜひ一度インターンに参加してみてほしいです。整った環境、複雑で面白い技術課題、そして層の厚いチーム。
とても魅力的な事業部です!
最後までお読みいただきありがとうございました!
原文を表示
はじめに
はじめまして。金沢工業大学 情報工学科 2 年の高岡己太朗です。
大学では Android 開発を中心に個人開発やインターンに取り組んできました。
Android の開発歴はおよそ 2 年になります。
今回、CA Tech JOB を通じてサイバーエージェントの Tapple に参加しました。
この記事では、読者の皆さんに持ち帰ってもらいたい 4 つのテーマ を軸にお伝えします。
- 自走力の定義
- インターン生の立場で意見を言う技術
- 迷ったときの思考法
- Tapple の魅力
インターンの概要
期間は 2026 年 3 月 3 日から 3 月 31 日までの約 1 ヶ月間です。
担当した施策は主に 2 つ。メッセージ送信取り消し機能、あしあと機能です。
いずれもユーザーに直接届く機能であり、実装だけでなく仕様の議論やログ設計にも深く関わりました。
【図表:インターン期間中の定量データ】
項目
数値
PR 数
24 本 ( 内マージ 22 本 )
追加行数
1,724 行
レビューコメント
84 件
関わった社員数
42 名
ランチをご一緒した社員数
25 名
施策詳細
- 送信取り消し施策:Tapple アプリのメッセージ機能に送信取り消し機能の実装
- あしあと施策:Tapple アプリに自分のプロフィールを見た人がわかる機能の実装
自走力の定義
メンターの 池津 さんから「この1ヶ月で何を達成したいか」と聞かれ、自走力を挙げました。
しかし、「自走力」とは何か。漠然とした状態でした。
そこで、池津 さんとの対話の中で、自走力を2段階に分けて定義しました。
自走力の定義
- Lv 1
- 1 人で実装・工数見積もり・提案ができる
- レビューを根拠持って行う
- 質問の際、自分の考えを持ち、判断ができる
- Lv 2
- その人が居ればチームがスムーズに回る
- チーム全体の視点と担当職種の視点の 2 つから意見ができる
- チーム全体でのボトルネックを見つけ、解消する方向に働きかける
この定義は、自分の現在地を測る物差し として非常に有効でした。
この 1 ヶ月では、まず Lv 1 の到達を目指し、さらに Lv 2 へ向かう一歩目として Lv 1.2 を目標に設定しました。
- 自分のAndroid実装だけでなく、チームとしての浮き玉を見つける
- チーム全体がスムーズに前に進めるように働きかける
これらができた時、Lv 1.2 に到達を実感しました。
「チームの中で自分がどう動けばプロジェクトが前に進むか」を考える視座はとても大事な技術だと身をもって感じました。
インターン生の立場で意見を言う技術
「インターン生が仕様に口を出すのは差し出がましいのではないか」
「正解を持っている人に聞く方が効率的」
提案をする時、僕は上記の 2 つの懸念を感じていました。
しかし、チームメンバーとして所属している以上、提案をする必要があります。
メンターにも相談しつつ、解消しようと取り組んだ結果、2 つのことが大事だとわかりました。
伝え方の選択をできるようになる
これは、「インターン生が仕様に口を出すのは差し出がましいのではないか」という懸念の解消法です。
意見の中身以前に、コミュニケーションの方法で印象は大きく変わります。
- オフラインとオンラインは、緊急性や相手の状態を見て使い分ける。
- チャットではテキストだけだと背景が伝わりにくいので、コードブロックや見出しを使って構造化する。
- Slackではリアクションだけで済ませず「ありがとうございます」とテキストで返す。
こうした小さな丁寧さの積み重ねだけで、差し出がましく映るリスクは大きく軽減されます。
担当範囲のコードを誰よりも調べる
これは、「正解を持っている人に聞く方が効率的」という懸念の解消法です。
全コードを把握するのは無理でも、今の施策で関わるページや機能の影響範囲は、議論の前に徹底的に読み込みました。
ドメイン知識や歴史的背景では社員に負けます。それは当然です。
しかし、「現状のコードがどうなっているか」だけは誰にも負けない状態を目指しました。
そうすると「現状はこうです」「この実装だとこうなります」と根拠のある発言ができるようになります。結果として、「聞いた方が早い」ではなく「自分の意見を言った方が議論が前に進む」という状態に変わっていきました。
インターン生という立場だから意見を言えない、ということはありません。
伝え方を整えて、コードという事実を握る。この 2つを行うことで、インターン生でも対等に議論に参加できると学びました。
迷ったときの思考法
約1ヶ月の開発の中で、何度も「どちらの実装にすべきか」「この設計で合っているのか」と迷う場面がありました。その中で得た最大の気づきは、迷いは深掘り不足 だということです。
迷いには2段階の構造があると思っています。
まず、各選択肢のトレードオフを十分に調査できていない段階。メリット・デメリットを徹底的に洗い出せば、大抵はどちらかに倒せます。
それでも判断できないなら、一段上の前提「そもそも何を実現したいのか」の理解が甘いということです。
KMP関連の設計で迷ったとき、メンターの 池津 さんに「なぜ迷っているのか」を言語化するよう促されました。
整理してみると、迷いの原因は選択肢の多さではなく、トレードオフの調査不足でした。さらに掘り下げると、そもそもの設計意図への理解が浅かったことに行き着きました。迷いの正体を突き止めれば、やるべきことは明確になります。
ただし、インターン生には背景知識の壁があります。社員と同じ精度でトレードオフを判別するのは現実的には難しいです。だからこそ、自分の中で最大限調べて考えた上で、最後に「僕の考慮漏れはないですか?」とメンターに確認する。これは必要な行動だと思います。一番避けるべきは、よくわからないまま迷った状態で止まることだと学びました。
環境が整っている
Tapple は制度面・技術面・組織面のすべてにおいて環境が整っていると感じました。ランチ制度では社員の方と気軽にご飯に行けます。
技術面でも Maestro や Molecule といった技術を積極的に採用していて、Compose 化もほとんど完了しています。社内イベントもあり、インターン生でも孤立しない雰囲気がありました。
ユーザー対ユーザーの複雑さ
マッチングアプリは、2 人のユーザーの状態の掛け合わせが常に発生します。たとえばあしあと機能の実装では、「ユーザーAはブロック済み、ユーザーBはいいかも済みでプライベートモード」のような複雑な状態を考慮する必要がありました。
いいかも・いまいち・ブロック・通報・ありがとうといったアクションと、プライベートモード・マッチ済み・いいかも済みといった各ユーザーの状態が掛け合わさるので、クライアント側でも考えることが非常に多いです。非常に難しいけれど、非常に面白い。この複雑さこそがマッチングアプリ開発の醍醐味だと思いました。
人材が豊富
PM・デザイナー・iOS・Android・バックエンド・DS・マーケティングなど、さまざまな職種にしっかり人がいます。年代も若手からベテランまで幅広く、スペシャリスト寄りの方もマネージャー寄りの方もいます。どのタイプにも複数人いて、一人に依存していないからこそチームとして安定感がある。僕がインターン中に質問や相談をしやすかったのも、この層の厚さがあってこそだと感じました。
おわりに
約 1 ヶ月間、本当にお世話になりました。メンターの 池津 さんには、技術だけでなく「 エンジニアとしての考え方 」を教わりました。レビュアーの皆さんには、レビューとコメントを通じて、コードの品質とは何かを学ばせていただきました。Tapple チームの温かい雰囲気があったからこそ、インターン生の自分も臆せず踏み込むことができました。
最後に、この記事を読んでくださっている学生エンジニアの方へ。ここまで書いた Tapple の魅力に少しでも共感した方には、ぜひ一度インターンに参加してみてほしいです。整った環境、複雑で面白い技術課題、そして層の厚いチーム。
とても魅力的な事業部です!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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