ニュースメディアにおける広告技術
スマートニュースのエンジニアが、広告自動入札アルゴリズムの開発において物理学や変分法などの数学的理論を応用した具体的な事例と、異分野人材の相乗効果について発表した。
キーポイント
数学的定式化による最適化
運用型広告における自動入札機能を、ラグランジュアンや変分法を用いた数学的な定式化と解析解の導出によって説明した。
物理学背景のエンジニアリング活用
物理学専攻出身者が持つ数理的アプローチが、広告配信アルゴリズムの高度な最適化に直接貢献した事例を紹介している。
異分野人材の相乗効果
優秀なエンジニアと数学・物理学出身者の協働が、より優れたサービスを生み出す鍵であると強調し、採用を呼びかけている。
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影響分析
この記事は、広告技術というビジネス領域において、基礎科学である数学や物理学がどのように応用され、アルゴリズムの精度向上に寄与しているかを具体的に示しています。また、エンジニアリングにおける学際的なアプローチの重要性を再認識させ、採用活動においても多様なバックグラウンドを持つ人材の価値を強調する役割を果たしています。
編集コメント
広告技術の裏側にある数理的な美しさと、物理学出身者のエンジニアリングへの貢献という視点は非常に新鮮です。単なる機能紹介ではなく、学問と実装の接点を語る内容として参考になります。
スマートニュース株式会社の西尾と申します。広告開発チームのエンジニアリングマネージャーを務めています。すでに1ヶ月前になってしまいましたが、2018年6月20日にLINE株式会社で開催された「Meetup in Tokyo #37 ニュースメディアにおける広告技術」に登壇しました。
私は大学時代に物理学を専攻していましたが、物理学がソフトウェアエンジニアリングと直接結びつくわけではありません。しかし、物理学がスマートニュースの問題解決に役立った事例があり、とても面白かったので、今回ぜひ紹介したいと思います。スライドには数式が多いため、自分には関係ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方には、ぜひ最後の「発表に込めた思い」を読んでいただければと思います。
現在私は、特に広告配信アルゴリズムの開発・実装という側面でチームをリードしています。
広告配信のアルゴリズムは大抵、秘密にしておきたいものですが、「AI・機械学習によって最適値を計算しています」というぼかした説明では全く面白くありません。そこで今回は、運用型広告配信における「自動入札機能」に関する数学的な理論について、踏み込んで発表してみることにしました。
運用型広告においては、メディア(SmartNews)が収益性の高い広告を選んで配信するオークションを開催しています。
具体的には、各広告主が自身で入札価格(≒クリック単価)を設定します。そこに、その広告がどれだけクリックされやすいかの予測値(≒CTR)を掛け合わせ、そのスコアに基づいて配信する広告を決定する仕組みです。
広告主側から見ると、入札価格を上げることでオークションでの勝率が上がり、広告配信量を増やすことができます。しかし、クリック単価が上がってコストも増加してしまうというジレンマの中、入札価格を調整していかなければなりません。
この入札価格の調整を自動で行う機能が、自動入札機能です。
自動入札機能では、通常なら広告主が設定する入札価格を、広告主の目標値を最大化するようにメディア(SmartNews)側で最適化します。人間による調整よりもはるかに細かく最適化できるため、ほとんどの場合、自動入札機能を使用することで広告の成果指標は向上します。
SmartNewsにおいて、この機能は2017年にリリースされています。
- 入札価格の自動調整機能が追加されました
- コンバージョン数・クリック数最大化機能をリリースしました
上記がいわゆる「ぼかした説明」です。この発表では、もっと数学的に踏み込むことを目標としました。
- 自動入札機能において、最適な入札価格を決定するという問題の数学的定式化
- シンプルな場合における具体的な解析解の導出
発表ではこの2点を解説しました。数学の比重が大きいのですが、興味を持っていただいた方は、詳細を発表スライドでご覧いただければと思います。この定式化は理論的に美しく、様々な問題設定へ応用可能だと思いますので、結論としての解析解だけでなく、ぜひ定式化の論理を追っていただきたいと思います。
(注)発表内容は、SmartNewsにおける自動入札機能の開発・改善にあたって大いに参考にしたものですが、実際のロジックそのものを説明しているわけではありません。実際のロジックには他にも様々な工夫があり、その内容は秘密です。
また、この発表を通じて暗に伝えたかったことは、広告技術の領域では数学・物理学の知識が実際に生かせて面白い、ということです。
発表スライドでは、ラグランジアンや変分法といった数学的技法を用いて、最適な入札価格を決定しています。エンジニアにとってはあまり馴染みがない要素かもしれませんが、実はこれらは物理学の基礎となる道具立てです。私は自動入札機能の開発を経て、優秀なエンジニアと数学・物理学の出身者が一緒に仕事をする相乗効果によって、優れたサービスが生み出されることをより強く信じるようになりました。そしてスマートニュースをそのような会社にしていきたいと考えています。
エンジニアの方も、数学・物理学をご出身の方も、社食での無料ランチもございますので、ぜひオフィスへ遊びに来ていただければ幸いです。応募前にカジュアル面談や社食ランチに興味を持たれた方は、ぜひ以下からご連絡ください。お待ちしております。
Software Engineer (オープンポジション / ポジションサーチ)
今回の発表に関連するポジションは以下です。
- Software Engineer, Ads Service Backend
- Software Engineer, Ads Algorithm
他にもさまざまなポジションで採用を行っておりますので、採用ページもご覧ください。
発表の機会をいただき、ありがとうございました。登壇後、様々な方とお話しする機会にも恵まれ、とても貴重な経験となりました。またよろしくお願いいたします!
原文を表示
スマートニュース株式会社の西尾と申します。広告開発チームのエンジニアリングマネージャをやっています。もう一月前になってしまいましたが、2018年6月20日に、LINE株式会社で行われたMeetup in Tokyo #37 ニュースメディアにおける広告技術 に登壇しました。
自分は大学時代に物理学を専攻していましたが、物理学はソフトウェアエンジニアリングと直接結びつくわけではありません。しかし物理学がスマートニュースの問題解決に役立った事例があり、とても面白かったので、今回ぜひ紹介したいと思います。スライドには数式が多いので、自分には関係ないと思われる方も多いかもしれません。そんな方には、ぜひ最後の「発表にこめた思い」を読んで欲しいです。
現在自分は特に広告配信アルゴリズムの開発・実装という側面でチームをリードしています。
広告配信のアルゴリズムは大抵は秘密にしておきたいものですが「AI・機械学習によって最適値を計算しています」というぼかした説明をしても全然面白くないので、今回は運用型広告配信における 自動入札機能 に関する数学的な理論の話に踏み込んで発表してみることにしました。
運用型広告においては、メディア(SmartNews)は収益性の高い広告を選んで配信するというオークションを開催しています。
具体的には、それぞれの広告主が自分たちで入札価格($\simeq$クリック単価)を設定します。そこにどれだけその広告がクリックされやすいかの予測値($\simeq$CTR)を掛け合わせ、そのスコアに基づいてどの広告を配信するかを決めるという仕組みです。
広告主サイドからすると、入札価格を上げることでオークションに勝つ確率が上がり、広告配信を増やすことができますが、クリック単価が上がってコストも増加してしまうというジレンマの中で、入札価格を調整していかなければなりません。
この入札価格の調整を自動で行うという機能が自動入札機能です。
自動入札機能では、通常なら広告主が設定する入札価格を、広告主の目標値を最大化するようにメディア(SmartNews)側で最適化します。人間による調整よりもはるかに細かく最適化できるので、ほとんどの場合で自動入札機能を使うことで広告の成果指標は向上します。
SmartNewsにおいては、この機能は2017年にリリースされています。
入札価格の自動調整機能が追加されました
コンバージョン数・クリック数最大化機能をリリースしました
上記がいわゆるぼかした説明というものです。この発表ではもっと数学的に踏み込むことを目標にしました。
自動入札機能において、最適な入札価格 を決定するという問題の数学的な定式化
シンプルな場合における具体的な解析解の導出
発表ではこの2点の解説をしました。数学の比重が大きいのですが、興味を持っていただいた方には詳細は発表スライドを見ていただければと思います。この定式化は理論的にきれいであり、いろいろな問題設定へ応用可能と思いますので、結論としての解析解だけではなく、ぜひ定式化の論理を追っていただきたいと思います。
(注) 発表内容は、SmartNewsにおける自動入札機能を開発・改善するにあたって大いに参考にしたものですが、実際のロジックそのものを説明しているわけではありません。実際のロジックには他にも様々な工夫があり、その内容は秘密です。
また、この発表を通じて暗に伝えたかったということは、広告技術の領域は数学・物理学の知識が実際に生かせて面白いよ、ということです。
発表スライドでは ラグランジアン や 変分法 といった数学的技術を使って、最適な入札価格を決定しています。エンジニアにとってはあまり馴染みがない要素かもしれませんが、実はこれらは物理学において基礎となる道具立てです。自分は自動入札機能の開発を経て、優秀なエンジニアと数学・物理学の出身者が一緒に仕事をする相乗効果によって、優れたサービスを生み出されることをより強く信じるようになりました。そしてスマートニュースをそのような会社にしたいと考えています。
エンジニアの方も、数学・物理学の出身者の方も、社食での無料ランチもございますので、ぜひオフィスに遊びに来ていただければ幸いです。応募の前にカジュアル面談・社食ランチなど興味を持っていただいた方はぜひ以下からご連絡ください。お待ちしております。
Software Engineer (オープンポジション / ポジションサーチ)
今回の発表に関係あるポジションは以下です。
Software Engineer, Ads Service Backend
Software Engineer, Ads Algorithm
他にもさまざまなポジションで採用しておりますので、採用ページをご覧ください。
発表の機会をくださりありがとうございました。登壇後、いろいろな方とお話しする機会にも恵まれ、とても貴重な経験となりました。またよろしくお願いします!
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