Cisco、脆弱性局在化専用 SLM「Antares」をオープンウェイトで公開
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Cisco Foundation AI は、ソフトウェアの脆弱性特定に特化した軽量言語モデル「Antares」シリーズ(350M/1B)を公開し、既存の大規模モデルと比較して実用的な性能を示した。
AI深層分析を開く2026年7月26日 21:21
AI深層分析
キーポイント
脆弱性局在化に特化した新モデルの公開
Cisco Foundation AI は、脆弱性情報とリポジトリを照合して欠陥ファイルを見つけるタスクに特化した「Antares」シリーズ(350M, 1B)をApache 2.0ライセンスで公開した。
ベンチマークにおける性能評価
VLoc Benchによる評価では、1B モデルが File F1 スコア 0.209 を記録し、GPT-5.5 の 0.229 に迫る結果を示したが、753B モデルの 0.186 よりも高い性能を発揮した。
エージェント型ループによる動作メカニズム
Antares は単なるシーケンスモデルとしてではなく、制限された環境でターミナルコマンドを実行するエージェントとして機能し、最大 15 回の呼び出しで脆弱性のあるファイルのランク付きリストを提出する。
既存ツールチェーンとの併用前提
同社は Antares がアプリケーションセキュリティツールチェーン全体を代替するものではなく、依存関係スキャンや動的テストなど既存のプロセスと組み合わせて使用すべきであると明確にしている。
タスク固有のトレーニングがパラメータ規模を上回る
Antares モデルは、GPT-5.5 や GLM-5.2 などより巨大なモデルや既存の静的解析ツール(Semgrep, CodeQL)よりも高い性能を発揮し、能力の向上はスケーリング曲線ではなく「崖」のような特性を示す。
重要な引用
The task is vulnerability localization. Given a vulnerability description and a repository, find the files containing the flaw.
Antares does not replace the application security toolchain. Cisco is explicit about this.
The pattern in the data is a capability cliff, not a scaling curve.
Supervised fine-tuning does the heavy lifting.
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編集コメント
Cisco が公開した Antares は、大規模モデルに頼らずとも特定のセキュリティタスクを高精度で処理できる可能性を示す重要な事例である。特に、既存のツールチェーンを代替するのではなく補完する位置づけで設計されている点は、実務導入における現実的なアプローチとして注目される。
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Cisco Foundation AI は、単一の狭いセキュリティタスクに特化した「セキュリティ用小規模言語モデル(SLM)」のファミリーである Antares を公開しました。そのタスクとは「脆弱性の局在化」です。脆弱性情報とリポジトリが与えられた際、欠陥が含まれるファイルを見つけることが目的です。
現在、Hugging Face で Apache 2.0 ライセンスの下でオープンウェイトの 2 つのモデル、Antares-350M と Antares-1B が利用可能です。また、同様にライセンスの下で、500 のタスクからなるエージェント型評価ベンチマーク「VLoc Bench」も公開されています。
今回の主たる成果は、新たな最先端技術の確立ではありません。重要なのは、1B パラメータのモデルが 0.209 という File F1 スコアを達成した点です。比較対象として、GPT-5.5 は 0.229、753B のオープンウェイトモデルは 0.186 を記録しています。
Antares が取り組む課題の背景
ソフトウェアセキュリティでは、外部の脆弱性情報を内部のソースコードに結びつけることが不可欠です。この情報は、公開データベースやアドバイザリ、Common Weakness Enumerations( CWE )といった場所に蓄積されています。一方、コードは巨大でモジュール化され、依存関係が複雑なリポジトリ内に存在します。
これら 2 つを接続するには多大なコストがかかります。開発者は見慣れないコードを検索し、命名規則に従い、呼び出しパスを確認し、候補となるファイルを比較する必要があります。Cisco の見解では、この最初の選別(トライアージ)工程にコストの大部分が集中しています。
Antares はアプリケーションセキュリティツールチェーンを代替するものではありません。Cisco はこれを明確にしています。開発チームは依然として、依存関係のスキャン、シークレット検出、動的テスト、コンテナチェック、脅威モデリング、そして専門家のレビューが必要です。
モデルの理解
Antares は、350M、1B、3B の 3 つのデコーダー専用トランスフォーマーモデルで構成されています。これらすべては IBM Granite 4.0 のチェックポイントから初期化され、トークナイザーとアーキテクチャを共有しています。具体的には、グループ化クエリアテンション(grouped-query attention)、SwiGLU MLP、RMSNorm、RoPE、そして共有の入力・出力埋め込みを採用しています。
| モデル名 | パラメータ数 | ベースモデル | コンテキスト長 | 層 / 隠れ次元 / KV ヘッド | 公開状況 |
|---|---|---|---|---|---|
| Antares-350M | 350M | Granite 4.0 350M | 32K | 28 / 1024 / 4 | オープンウェイト |
| Antares-1B | 1.6B | Granite 4.0 1B | 128K | 40 / 2048 / 4 | オープンウェイト |
| Antares-3B | 3B | Granite 4.0 Micro | 128K | 非公開 | リリース済み |
エージェントループの仕組み
Antares は単なるシーケンスモデルとして評価されるのではなく、制限されたループ内で 3 つのツールと共に動作します。
モデルは CWE(Common Weakness Enumeration)のカテゴリ説明のみを受け取り、それ以外の情報は一切提供されません。アドバイザリテキストやファイルの手がかり、深刻度の詳細なども含まれません。その後、ネットワーク機能を無効化した Docker サンドボックスに対して、読み取り専用のターミナルコマンドを発行します。コマンドの出力は 2,000 文字に切り詰められた上で、トランスクリプトとして記録されます。
タスクあたりの使用可能コマンド数は最大 15 回です。モデルは、ランク付けされたファイルリストを提出する submit_vulnerable_files または脆弱性が見つからないことを示す submit_no_vulnerability_found を呼び出すことで処理を終了します。なお、この提出自体は使用回数(バジェット)にはカウントされません。
最終的な出力は、ファイルパスのランク付けリストと、それを導き出した探索プロセスのトレース情報です。
VLoc Bench が測定するもの
VLoc Bench は、290 の実世界リポジトリから抽出された 500 のタスクを対象としています。出典は npm、pip、Maven、Go、Rust、Composer の 6 つのエコシステムにまたがる公的な GitHub セキュリティアドバイザリです。対象となる CWE カテゴリは 147 に及び、エントリの 78% には CVE 識別子が付与されています。
正解データはセキュリティパッチから導き出されます。修正ファイルがラベルとして扱われますが、テストコード、ドキュメント、設定ファイルは除外されます。
このベンチマークは 2 つのフェーズで構成されています。
フェーズ A では、脆弱なスナップショットをモデルに与え、File F1 スコアを算出します。
フェーズ B では、修正済みのスナップショットを与えて True Negative Rate(真陰性率)を評価し、修正済みコードに対して誤検知を起こさないかをテストします。
(function(){var f=document.getElementById("mtp-antares-explainer-frame");if(!f)return;
window.addEventListener("message",function(e){var d=e.data;
if(d&&typeof d==="object"&&d.mtpAntaresExplainerHeight){var h=parseInt(d.mtpAntaresExplainerHeight,10);
if(h>200&&h
結果:タスク特化型の学習がパラメータ規模を上回る
データから浮かび上がるのは、スケーリング曲線ではなく能力の崖です。
Antares-3B は File F1 で 0.223 を達成し、GPT-5.5 (xhigh) の 0.229 に僅かに及びません。一方、Antares-1B は 0.209 を記録し、7530 億パラメータの GLM-5.2 が示した 0.186 を上回ります。さらに Antares-350M も 0.135 を達成し、Gemma-4-31B の 0.101 や Gemini 2.5 Flash の 0.102 を凌駕しています。
また、Antares-1B は評価対象システムの中で最も高い再現率(Recall)である 0.224 を記録しました。
同じ評価条件で静的解析ツールもテストしました。Semgrep は File F1 スコア 0.086、CodeQL は 0.023、Horusec は 0.020 を記録しています。Cisco の見解では、ルールベースのスキャナは脆弱なファイルをある程度特定できますが、リポジトリ全体の文脈を適応的に検査することはできません。
この能力はどこから生まれるのか
事前学習済みの Granite 4.0 ベースモデル(未微調整)は、同じプロトコルで File F1 スコアがそれぞれ 0.001、0.000、0.000 と極めて低い値を示しました。ツール呼び出し機能は備えていますが、エージェントループ内では依然として意味をなさない出力を生成してしまいます。
実質的な性能向上をもたらしたのは教師あり微調整(SFT)です。これにより 3 つのモデルサイズでスコアがそれぞれ 0.108、0.188、0.198 に引き上げられました。SFT で使用したコーパスは、サイバーセキュリティ推論が 71.5%、コード検索の軌跡が 15.4%、深掘り調査と一般推論が 13.1% です。すべての推論プロセスは、教師間の分布シフトを防ぐため、単一の教師モデルである GPT-OSS-120B から生成されたものです。
次に GRPO(Generalized Reward Policy Optimization)が導入され、スコアはさらに 11% から 25% 向上しました。特に 350M モデルでの相対的な改善幅が最も大きくなっています。報酬は学習済みのモデルに依存せず、軌跡テキストからプログラムによって検証可能かつ自動計算されます。評価項目には、脆弱性の特定精度、提出行動の適切さ、ツール使用の遵守状況、探索行為、および不正な出力に対するペナルティが含まれます。
平均値よりも分散の影響が重要かもしれません。GRPO を適用することで、実行ごとの標準偏差を 42% から 65% 削減できました。つまり、1 回の GRPO 評価の実行は、1 回の SFT 実行よりも信頼性の高い推定値を提供します。
学習された戦略には、モデルの規模に応じた違いも存在します。GRPO 適用後、350M と 1B のモデルは検索コマンドを 87% から 89% に使用し、より多くのファイルを提出します。一方、3B モデルでは検索が 52%、読み込みが 37% に落ち着き、精度を高めて提出するファイル数は減っています。この二つの運用方針のうち、どちらを採用すべきかという報酬設計は行われていません。
Deployment
(function(){var f=document.getElementById("mtp-antares-deploy-frame");if(!f)return;
window.addEventListener("message",function(e){var d=e.data;
if(d&&typeof d==="object"&&d.mtpAntaresDeployHeight){var h=parseInt(d.mtpAntaresDeployHeight,10);
if(h>200&&h
主要なポイント
Antares-1B は VLoc ベンチマークで File F1 スコア 0.209 を達成し、7530 億パラメータを持つ GLM-5.2 や Gemini 3 Pro を上回りました。
Granite 4.0 のベースチェックポイントでは同様のプロトコル下でスコアが約 0.000 だったため、事後学習によってほぼすべての能力が付与されたことになります。
GRPO(Generalized Reward Policy Optimization)の適用により、File F1 スコアは 11% から 25% 向上し、試行ごとのばらつきを 42% から 65% 削減しました。これは、再現性のある CI スキャンにおいて特に重要な成果です。
500 タスクのフルスウィープにかかるコストは H100 1 台で 1 ドル未満ですが、GLM-5.2 は 12.50 ドル、GPT-5.5 は 141 ドルとなります。
最も性能が高い Antares-3B バリアントは現時点で公開されておらず、Antares の Phase B における偽陽性の数値も公表されていません。
Hugging Face のモデルページ、ベンチマーク結果、GitHub リポジトリ、および技術レポートをご覧ください。
AI算出
主要ニュースainew評価標準
AI モデルの公開という明確なニュースであり、既存記事との比較で独立した情報(モデル詳細、ベンチマーク結果)を提供しているため新規性は高い。ただし日本企業や日本固有の事情に関する記述は少ない。
6つの評価軸を見る
- AI関連度
- 100
- 情報源の信頼性
- 25
- 新規性
- 75
- 調べる価値
- 75
- 重複の少なさ
- 100
- 日本での有用性
- 25
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