スマートニュースでエンジニアがプロダクトマネージャーを担当する理由
スマートニュースのプロダクトマネージャーがエンジニア出身である背景と、機械学習による技術的レバレッジを最大化するために広告ネットワーク事業の拡大を見送った意思決定プロセスが示されている。
キーポイント
エンジニア出身 PM の役割定義
スマートニュースのプロダクトマネージャーはエンジニア出身が多く、彼らの主たる任務は「テクノロジーを使ってスケールできる問題(10 倍の差が生まれる領域)」を定義することである。
技術的レバレッジと Ad Network の取舍
自社ユーザー以外への広告配信(Ad Network)は売上には寄与するが、学習データ不足により機械学習のレバレッジ効率が低下するため、長期的な成長戦略として拡大を見送った。
自動化・機械化領域への集中
注力すべき領域は人の仕事の自動化や機械化であり、ここが技術投資によって 10 倍のパフォーマンス向上が可能となる持続的な成長の源泉であると位置づけている。
多国籍チームでの言語対応
スマートニュースには多くの中国人エンジニアが在籍しており、重要な会議では中国語で行われることが頻繁にある。
エンジニアとPMの役割融合
記事の文脈から、エンジニアがプロダクトマネージャーの機能を担うことで、開発現場と製品戦略の密接な連携を図っていることが示唆される。
影響分析・編集コメントを表示
影響分析
この記事は、AI・機械学習企業におけるプロダクト戦略の本質的なジレンマ(短期的収益 vs 長期的技術的レバレッジ)を、具体的な意思決定事例を通じて示しており、テックファーストな組織の経営判断プロセスを理解する上で重要な示唆を与える。特にデータ駆動型の成長において、どの領域にリソースを集中させるかの基準となる「10 倍の差」の概念は、他の AI 企業やスタートアップにも応用可能なフレームワークである。
編集コメント
技術的優位性を維持するためにあえて収益拡大の機会を放棄した事例は、AI 企業特有の「データとアルゴリズムへの投資優先」思想をよく表しています。
はじめまして。スマートニュースでプロダクトマネージャーをしている前田です。元々はソフトウェアエンジニアとして働いていましたが、現在は広告プロダクトと米国における成長施策関連のプロダクトマネージャーを務めています。
今回は、スマートニュースにおけるプロダクトマネージャーの役割や考え方について、少し紹介したいと思います。
(写真は弊社の米国オフィスで撮った一枚です。写っているのは期待の新星、shun.yaoさんです)
スマートニュースはテクノロジーで成長する会社である
スタートアップであればなおさらですが、ほとんどの場合、会社は成長に最も必要なことに大部分のリソースを投下します。
そのため、会社が「何で」成長するのかは、会社を特徴付ける非常に重要な要素であると考えています(多くの場合、これはサービスの競争力と同義です)。
過去に自分が携わっていたSNSやCtoCサービスを主とする会社では、競争力の源泉は市場シェアや企画力でした。当然、メンバーはそこに集中し、頭を悩ませることになります。
では、スマートニュースはどうか?
スマートニュースは、広告やコンテンツの「配信技術」で成長する会社です。我々は日々ここに集中し、頭を悩ませています。
ニュースアプリは、ネットワーク効果がほとんど働かない領域であり、純粋に広告やコンテンツ配信のアルゴリズムで勝負が決まる領域なのです。スマートニュースも技術に継続的に投資することで、これまでの成長を実現してきました。
エンジニアの技術的なアイデアで、売上やDAUを時には数十%単位で成長させる。エンジニアにとって、これほど楽しい環境があるでしょうか?スマートニュースでは日々、そのようなことが行われています。
余談ですが、「必要は発明の母」という言葉の通り、世界で最も機械学習などの技術が進んでいる会社の例であるFacebookやGoogleも、広告やコンテンツ配信で売上を立てている会社です。これは、このような領域が技術投資によって直接的に成長できる領域であることが大きな要因となっているのでしょう。
スマートニュースのプロダクトマネージャーにはエンジニア出身のメンバーが多く、その最も重要な仕事は「テクノロジーを使ってスケールできる問題は何か?」を定義することです。
プロダクトマネージャーは問題を考えるとき、「その問題を解決する、平均的なプロダクトと最高水準のプロダクトの間に、何倍の差を見出せるか?」を考えます。
1.5倍の差なのか?10倍の差なのか?100倍の差なのか?この差が大きいときに初めて、その問題は「テクノロジーを使ってスケールできる問題」であると定義できるのです。
このように問題を定義してしまえば、あとはエンジニアチームが長期間にわたってそれを改善し、事業やプロダクトは継続的に成長していきます。
そのような環境を作るのが、スマートニュースのプロダクトマネージャーの役目なのです。
広告配信プラットフォームの事例: Ad Networkの是非
実際に、このような考え方が意思決定に影響した事例を一つ紹介します。
それは「スマートニュースとしてAd Network事業を拡大すべきか?」という問題が議論されたときの事例です。
スマートニュースのように広告で収益化している会社の多くは、Ad Network事業を展開することが多いです(Ad Networkとは、自社の広告配信システムを使って、自社とは関係ないWebサイトやアプリに対して広告配信をし、収益を得ることを指します)。
Ad Network事業の最大のメリットは、自社のユーザー数に依存しない形で売上を構築できる点にあります。しかも、配信可能な媒体を追加で獲得していけば、比較的安定した売上伸長が見込めます。
スマートニュースはリリース初期からmixiアプリに広告配信をさせていただいていますが、それ以上は拡大してきませんでした。私が広告チームのプロダクトマネージャーになってから2年弱の間、これを拡大しようという議論が何度もされてきました。しかし、現在ではこれ以上拡大しないという意思決定がされています。
その大きな要因の一つとして、Ad Network事業を行うことでテクノロジーによるスケーラビリティが低くなっていくことを危惧した点が挙げられます(もちろん、スマートニュース単体での収益が伸びており、そこに注力したかったこともありますが)。
Ad Network事業で大きな売上を立てるためには、自社ユーザー以外のユーザーに対して広告配信を行う必要があります。このような売上の割合が大きくなると、どうなるでしょうか?
これらのユーザーについては、保持しているデータ量が圧倒的に少ないです。そして、データ量は機械学習の源泉です。このようなユーザーによる売上の割合が大きくなればなるほど、機械学習によるレバレッジが効きにくい状況になっていきます(もちろん、会社によって事情は違いますが)。
- テクノロジーでレバレッジが効いた状態を長期にわたって保ちたい
- スマートニュース自体が現時点において大きく成長中
この二点をもとに、Ad Network事業を大きく拡大していくことはしないという意思決定をしています。
スマートニュースが注力する領域
では、どこに注力しているのか?スマートニュースの広告配信プラットフォームは、以下の二つの課題に注力しています。
- 人がしている仕事の自動化・機械化
これらの課題は比較的長期にわたって持続するだろうと考えています。また、テクノロジーによって10倍のパフォーマンスを出せる領域です。
現在スマートニュースが開発している多くのものは、この領域のものとなっています(もちろんそれ以外もありますが)。
具体的にどのようなことをやっているのかについては、近日中にこちらのブログでご紹介できると思います。
スマートニュースは、テクノロジーによって直接的にプロダクトとビジネスを成長させられる、エンジニアにとって非常に面白い環境です。
そして、このような環境は、短期的な売上や事業の成長を追うことよりも、テクノロジーに長期的に投資してプロダクトをよくしていくという思想のもと、意識的に維持しています。もし、スマートニュースのプロダクトマネージャーやエンジニアに少しでも興味を持っていただいたら、ぜひ応募をご検討ください。様々なポジションが絶賛募集中です。
実際に技術的にどんなことをやっているのか、話したいことは無限にあるので、「なんとなく話を聞いてみたいな」という方は、こちらからご連絡いただくか、私(shuntaro.maeda@smartnews.com)まで直接ご連絡いただければ幸いです!
会社も今、過去3年くらいで一番伸びており、本当に面白い状況なので、いっしょに働く仲間を探しています!!

原文を表示
はじめましてスマートニュースでプロダクトマネージャーをやっている前田です。元々はソフトウェアエンジニアとして働いてましたが現在は広告プロダクトとUSのgrowth施策関連のプロダクトマネージャーをやっています。
今回は、スマートニュースにおけるプロダクトマネージャーの役割や考え方について少し紹介したいと思います。
(写真は弊社のUSオフィスでとった一枚です。写ってるのは期待の新星のshun.yaoさん)
スマートニュースはテクノロジーで成長する会社である
スタートアップであればなおさらですが、ほとんどの場合において会社は成長に最も必要なことに大部分のリソースを投下します。
そのため会社が「何で」成長するのか、それは会社を特徴付ける非常に重要な要素であると考えています(多くの場合において、これはサービスの競争力と同義です)。
過去に自分が携わっていたSNSやC2Cサービスを主とする会社の場合は、競争力となっていたのは市場におけるシェアや企画の出来でした。当然、メンバーはそこに集中し、頭を悩ませることになります。
では、スマートニュースはどうか?
スマートニュースは広告やコンテンツの「配信技術」で成長する会社です。 我々は日々ここに集中し、頭を悩ませます。
ニュースアプリは、ネットワーク外部性が一切効かない領域であり、純粋な広告やコンテンツ配信のアルゴリズムが勝負になる領域なのです。 スマートニュースも技術に継続的に投資することで、現在までの成長を実現してきました。
エンジニアの技術的なアイディアで売上やDAUを時には数十%単位で成長させる。エンジニアにとってこんなに楽しい環境があるでしょうか?スマートニュースでは日々そのようなことが行われています。
予断ですが、必要は発明の母という言葉の通り世の中で最も機械学習などの技術が進んでる会社の例であるFacebook や Google なども、広告やコンテンツ配信で売上を立てている会社です。 これは、このような領域が技術投資により直接的に成長できる領域であることが大きな要因となっているでしょう。
スマートニュースのプロダクトマネージャーはエンジニア出身のメンバーが多く、その最も重要な仕事は「テクノロジーを使ってスケールすることが出来る問題は何なのか?」を定義することです。
プロダクトマネージャーは問題を考えるとき、「その問題を解くための、平均的プロダクトと最高水準のプロダクト、そこに何倍の差を見出せるか?」を考えます。
1.5倍の差なのか? 10倍の差なのか? 100倍の差なのか? この差が大きいときに初めて、その問題が「テクノロジーを使ってスケールすることが出来る問題」であると定義することができるのです。
このように問題を定義してしまえば、あとはエンジニアチームが長期間にわたってそれを改善し、事業やプロダクトは継続的に成長していく。
そのような環境を作るのがスマートニュースのプロダクトマネージャーの役目なのです。
広告配信プラットフォームの事例: Ad Networkの是非
実際にこのような考えが意思決定に影響した事例を一つ紹介します。
それは「スマートニュースとして Ad Network 事業を拡大するべきか?」という問題が議論されたときの事例です。
スマートニュースのように広告で収益化している会社の多くは Ad Network 事業を展開することが多いです(Ad Network とは、自社の広告配信システムを使って、自社とは関係ない web site やアプリに対して広告配信をして収益を得ることを言います)
Ad Network 事業の最大のメリットは自社のユーザー数に依存しない形で売上を構築することができるという点にあります。しかも、配信可能な面を追加で獲得していけば、比較的安定した売上伸長が見込めます。
スマートニュースはリリース初期から mixi アプリに広告配信をさせていただいているのですが、それ以上に拡大はしてきませんでした。僕が広告チームのプロダクトマネージャーをになった2年弱前から今に至るまで、これを拡大しようという議論が何度もされてきました。しかし、現在ではこれ以上拡大しないという意思決定がされています。
その大きな要因の一つとして Ad Network 事業を行うことでテクノロジーによるスケーラビリティが低くなっていくことを危惧したという点が挙げられます(もちろん、スマートニュース単体での収益が伸びており、そこに注力したかったこともあるのですが)
Ad Network 事業で大きな売上を立てるためには、自社のユーザーでないユーザーに対して広告配信を行う必要があります。このような売上のシェアが大きくなるとどうなるでしょうか?
これらのユーザーに関しては、保持しているデータ量が圧倒的に少ないです。そして、データ量は Machine Learning の源泉です。このようなユーザーによる売上のシェアが大きくなればなるほど、 Machine Learning によるレバレッジが効きずらい状況になって行きます(もちろん、会社によって事情は違いますが)。
テクノロジーでレバレッジが効いた状態を長期にわたって保ちたい
スマートニュース自体が現時点において大きく成長中
この二点をもとにAd network 事業を大きく拡大していくことはしないという意思決定をしています。
スマートニュースが注力する領域
では、どこに注力してるのか?スマートニュースの広告配信プラットフォームは以下の二つの課題に注力しています。
人がしている仕事の自動化、機械化
これらの課題は比較的長期に渡って持続するだろうと考えています。また、テクノロジーによって10倍のパフォーマンスを出せる領域です。
現在スマートニュースが開発している多くのものは、この領域のものとなっています(もちろんそれ以外もありますが)。
具体的にどのようなことをやっているのかについては近日中にこちらのブログでご紹介できると思います。
スマートニュースはテクノロジーによって直接的にプロダクトとビジネスを成長をできるエンジニアにとって非常におもしろい環境です。
そして、このような環境は短期的な売上や事業の成長を追うことよりもテクノロジーに長期的に投資してプロダクトをよくしていくという思想のもと意識的に維持しています。 もし、スマートニュースのプロダクトマネージャーやエンジニアに少しでも興味をもっていただいたらぜひ応募をご検討ください。 様々なポジションが絶賛オープンです。
実際技術的にどんなことを中でやってるのか、話したいことは無限にあるのでなんとなく話聞きたいなーという方はこちらからご連絡いただくか、僕(shuntaro.maeda@smartnews.com)まで直接ご連絡いただければ!
会社も今過去3年くらいで一番伸びていますし、本当に面白い状況なのでいっしょに働く仲間を探してます!!

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