Liquid Glass 対応 — タップルでの意思決定と実装
タップル開発チームは、Appleの次世代UIデザイン「Liquid Glass」を採用する背景と、実装フロー・バグ対応の知見を公開している。
キーポイント
Liquid Glassの採用背景と特徴
半透明ガラス質感と光の反射・屈折アニメーションを特徴とするApple標準デザインへの準拠。
歴史的経緯と公式ガイドライン
スキューモフィズムから現在のデザインへの変遷を振り返り、Apple公式ギャラリーとドキュメントへの参照を示す。
早期着手の必要性と対応フロー
実装の複雑さとバグリスクを考慮し、早期からの検討と体系的な対応手順の提示。
実装事例とバグ回避ノウハウ
具体的なUI適用例と開発現場で直面しやすい問題への解決策を共有し、他アプリの対応参考とする。
透過性と視認性のバランス調整
Liquid Glassの強い透過性により文字が見づらくなるため、背景色の追加などで視認性を確保し、重要機能への適用は控えめに設計する。
過去のデザイン移行から学ぶ注意点
ユーザーの認知ギャップを考慮し、適用可能なUIオブジェクトを事前に洗い出してトーン&マナーの崩壊を防ぐ。
対応期限の明確化
2026年9月のメジャーアップデートで互換性フラグが廃止され、Liquid Glassの適用が強制されるため、期限を意識した対応が必要である。
影響分析・編集コメントを表示
影響分析
本記事はAppleのUIデザイン刷新「Liquid Glass」への具体的な実装事例を示しており、iOS開発現場における標準化プロセスの参考となる。技術的な障壁を早期に可視化したことで、業界全体の対応スピード向上と品質安定に寄与する可能性がある。
編集コメント
AI関連のニュースではないが、AppleのUI刷新に伴う実装リスクを事前に可視化した点は開発現場にとって極めて有用である。類似のデザイン刷新が起きた際の対応フレームワークとして活用できるだろう。
この記事で学べること
- デザイン・方針がわかる
- 実装の参考になる
- バグ対応の参考になる
対応に困っていたり、なかなかチーム内の温度感が上がらなかったりする方がいたら、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
- なぜやるのか
- デザインの変遷
- 対応期限
- 早めに対応を進めるべき理由
- 対応フロー
- 対応事例
なぜやるのか
Liquid Glass(リキッドグラス)は、半透明のガラスのような質感と、光の反射・屈折を伴う動的なアニメーションが特徴です。
10年に1度の大規模なデザイン変更となっており、標準的なデザインとして認知が広がっています。
対応アプリも着々と増えており、Apple公式からもデザインギャラリーが公開されました。
私たちもその大きな流れに乗っていきます。


デザインの変遷
実際に、これまでのデザインの変遷を見てみましょう。
2007〜2013年:スキューモフィズムデザイン(Skewmorphism)
iPhone登場時のデザインで、デジタル機器に不慣れな人(初心者)にも使ってもらえるよう、立体感を持ちリアリティの高いデザイン
2013〜2025年:フラットデザイン(Flat Design)
影や立体感を排除したシンプルなUIにすることで、文字や写真などのコンテンツを主役としたデザイン
2025〜:リキッドグラスデザイン(Liquid Glass Design)
実世界のガラスのように光を反射・屈折する半透明の新素材を使い、コンテンツへの注目を高めつつ、周囲に応じて変化するダイナミックなデザイン

デザイン刷新時の注意点
新しいデザインが浸透していく一方で、その流行に乗る際には注意すべきポイントが存在します。
過去の、スキューモフィズムデザインからフラットデザインへの変更時を振り返ります。
スキューモフィズムデザイン(Skewmorphism) → フラットデザイン(Flat Design)の影響
- シンプルになったことで情報理解や開発効率が向上
- 立体感が失われたことで、どこがボタンやリンクなのか、ユーザーが直感的に理解しにくい
デザインの移り変わりの際には、これまでのデザインで培ったユーザーの価値観とのギャップが必ず生まれます。
立体感の強いスキューモフィズムデザインに慣れていたユーザーは、フラットデザインのオブジェクトの境界線の認知に慣れるまで多少の時間が必要でした。
この点を踏まえて、リキッドグラス移行でどの点に注意すべきかを考えます。
フラットデザイン(Flat Design) → リキッドデザイン(Liquid Design)の影響
Liquid Glass では、透過性と視認性のバランスが重要です。
透過性やインタラクション(タップしたり、ホバーしたりする時のオブジェクトの動き)が強いため、以下3点に特に注意します。
① Liquid Glass Layerの上に乗った要素(文字など)が見づらい
② オブジェクトとしての存在感は強いので、多用するとトーン&マナー(トンマナ)が崩れる
③ 重要機能のLiquid Glass対応は控えめにして、影響を最小限に
①の対策としては、透過性を下げられる箇所に関しては背景色を設定したり、ベース背景と同化しないように色を変えるなどします。※対応事例は後述
- 公式の推奨に従いつつ、視認性が損なわれる箇所は調整する
- ex. 公式セッションでは、
.sheetでモーダルを表示する際には背景色を設定するpresentationBackgroundを除外するよう推奨されていますが、敢えて使用して透過性を下げています。
② に関しては、対応可能なUIオブジェクトを洗い出してデザイナー陣に掲示。実際にアプリを配布して適用判断していきました。

左:標準APIにそのまま従ったもの
真ん中:背景色(白100%)を追加したもの
右:背景色(白70%)を追加のもの
※リリース成果物とは部分的な差分があります
対応期限
Liquid Glass 対応には期限があります。
2025年のWWDC(Worldwide Developers Conference)では、次のメジャーアップデートで互換性フラグを廃止することを宣言しています。
As you evaluate your app’s UI and the time you need to adopt the new design, we’re providing an option to continue to use your app’s current design with Xcode 26.
We intend this option to be removed in the next major release.
We are so excited to see the transformative effects of Liquid Glass in your apps.
要約すると:
しばらく現在のデザインを維持するオプションを提供しますが、次のメジャーアップデート(2026年9月)でこのオプションは削除されます。
※ UIDesignRequiresCompatibility = true → Liquid Glass を無効化
早めに対応を進めるべき理由
Liquid Glass対応には、落とし穴がたくさんあります。
- iOS 26未満と以上で同じAPIでも挙動が異なる
- iOS 26.X.Xシリーズ内でも、バージョンによって動作が異なる
タブバー(Tab Bar)のAPIやセーフエリア(Safe Area)、アニメーションの挙動など(後述)
- ナビゲーションバー(Navigation Bar)、タブバーの高さがそれぞれ 44px→56px、49px→83px に変更
- 既存のカスタム実装と競合し、外観や動作が崩れる
- バージョンによっては正しく実装しても外観や動作が崩れる。特に 26.0.X
- タブバーのタイトル・アイコンのカスタマイズが大きく制限される
メジャーアップデートのリリース時期と Liquid Glass 対応を同時に完了させるスケジュールでは、これらの落とし穴に十分対処できません。バグを含むバージョンの公開や検証期間の不足による事業への影響は、軽視すべきではありません。
対応フロー
いきなり完璧な状態でテスト・リリースを行うのはリスクが大きいため、段階的なリリース計画を策定します。
後から「やっぱりここも対応したいね」という形で対応が先送り・追加されないよう、事前に理想の完成形を明確に定義し、それを目指して進めます。
※対応時期については、当時の実際のスケジュールを記載しています。
フェーズ1 (1月中旬)
1-a:タブ(Tab)の Liquid 化を主眼に置く
1-b:それ以外の箇所は Liquid 化せず、レイアウトが崩れた部分のみを修正する

※すべての対応事例は後述しています。
1枚目:タブタイトルの色変更が効かなくなっています。バージョンによっては、アイコンの色自体が変わらない場合もあります。
3枚目:キーボードに丸みと透過効果が適用されたことで、デザインが崩れています。
4枚目:戻るボタンとユーザーステータスが、同一のグループ化UIに統合されてしまっています。
5枚目:戻るボタンの右側に不要な余白が生じており、Liquid Glass の境界線によって可視化されています。
フェーズ2 (1月中旬 〜 2月中旬)
2-a:ナビゲーション・シートの Liquid 化を主眼に置く
2-b:フェーズ1でLiquid化を見送った箇所を Liquid 化する(入力フィールドなど)

1枚目:ナビゲーションバーを透過させる
2枚目:シートの透過度が高いため、視認性を調整する
3枚目:キーボードの透過や丸みに対応し、入力フィールドを調整する
フェーズ3 (2月中旬 〜 3月中旬)
3-a:適切な範囲内で Full Liquid Glass 化を適用する
3-b:強制適用されない箇所も含め、調整の必要性を検討する
タップル(TAPURU)と Liquid Glass の世界観のバランスを崩さないよう、品質重視で進める

1枚目:結果として HorizontalPager のナビゲーションは Liquid 化を見送り。FloatingButton や通知バーなどを Liquid 化
2枚目:検索バーの Liquid 化
対応事例
事例 1: Tab / NavigationBar の背景
let appearance = UITabBarAppearance()
appearance.configureWithDefaultBackground()
let appearance = UINavigationBarAppearance()
appearance.configureWithDefaultBackground()
事例 2: 入力フィールドの視認性

特に強調したい要素以外には使用を控えるべきとされています(公式ソース)。背景と同化して見にくくなるため、tint でわずかに色付けします。
.regular.tint(Color)
事例 3: テキストエディタとモーダル

左:テキストエディタと ScrollView の色の差異が生じたため、修正する。
.scrollContentBackground(.hidden)
中央:カスタムナビゲーション実装だったため高さが一致せず、レイアウトが崩れた
標準 API に置き換える。
右:モーダルの透過度が高いため、テキストやスライダーの視認性が低下する。背景色を付与する
.presentationCornerRadius(CGFloat)
.presentationBackground(Color)

事例 4: あえて対応しないもの
現状、HorizontalPager に適した Liquid UI が提供されていないため、他サービスの対応状況を確認し、優れた実装があれば参考にする予定である。

公式ドキュメントでは、以下の透過防止用 API が紹介されている
- scrollEdgeEffectStyle(.hard, for: .top)
- scrollView.topEdgeEffect.style = .hard
事例 5: エッジスワイプで戻る際に、白いグラデーションが下降する現象(iOS 26.1 / ビルド番号 23B85)

iOS26.2 (23C5044b) では治っていることを確認。アップデートを推奨
事例 6: glassEffectの評価で落ちる iOS26.0 beta 2 (23A5276f)
#5 View.glassEffect
#6 Hoge.body.getter ... Foo.swift:320
パブリック・パブリックベータ・次のデベロッパベータのバージョンにアップデート
事例 7: コンテンツがセーフエリアを超えない

UIKit を使っている画面では、xib上のアンカーをview.topにしても
セーフエリアを超えて描画されない箇所が見られました。
edgesForExtendedLayout = [.top, .bottom]
extendedLayoutIncludesOpaqueBars = true
また、UIKitもSwiftUIもトップコンテンツがScrollViewかつ余白が入っていなければ
自動でナビゲーションを超えて描画してくれるようになっています。
ScrollView { } // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見える
VStack { ScrollView } // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見えない
ScrollView { }.padding(.top, 1) // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見えない
もしも不要なStackやpaddingがあるせいでignoreSafeArea等を使用しているのであれば、
まずはStackやpadding, ignoreSafeAreaの除去を試みてください。
事例 8: TabIconとTabTitleがくっつく iOS26.0 beta 2 (23A5276f)
パブリック・パブリックベータ・次のデベロッパベータのバージョンにアップデート
事例 9: 非選択時のTabIconの色が変わらない iOS 26.0 ~
どの標準APIを触っても、タブやアイコンの色変更に制限がかかるようになりました。
タブが透過する仕様上、視認性の観点から制限がかかっていると推測しますが、サービスとして看過できないためどうにかして色を変えます。
withRenderingMode(.alwaysTemplate)
+
UITabBarItemAppearance.normal.iconColor = ...
alwaysTemplateとAppearanceで変えていた色を、
あらかじめ色を変更した画像と alwaysOriginal の組み合わせによって色を変更しました。
image.tintedImage(...)
+
.withRenderingMode(.alwaysOriginal)

バージョンアップデートが進むと、今度はタブタイトルの色変更ができなくなっていました。

デザイン上、どうしても対応したいという要望もあったため、
アイコンにタイトルを含めることで対応しました。
事例 10: 戻るボタンに余分な余白が入る
明確な縁が描画される都合上、iOS26未満で見えなかったレイヤ構造が可視化されるようになりました。
このケースでは、ナビの戻るボタンの共通実装に半角スペースが入っていたことが原因でした。
backBarButton.title = " " // これが原因
self.navigationItem.backBarButtonItem = backBarButton
事例 11: List.swipeActionsのアニメーション崩れ
leading, trailingを付けて左右にスワイプすると、List上部が潰れる

こちらはやむなしで潰れる分上に上げて、クリップするようにしました。
事例 12: ナビアイコンにつけているバッジがクリップされる
Liquid Glassの仕様でクリップされてしまうので、バッジのデザインそのものを変更

左:iOS26以上でバッジが見切れていることがわかる
右:iOS26以上における通知有効時のUIを刷新
.buttonStyle(.glassProminent) // Navに配置したボタンのGlassLayerの色付け
事例 13: OSバージョンごとのデザインを統一
以下の観点から、デザインは極力統一できるように心がけました。
- デザインコスト
- 実装コスト
- デバッグコスト
タップルでも、途中まではiOS26未満と以上でデザインを分けていましたが、一部を除いて統一する意思決定をしました。

1列目:統一前のiOS18以下の入力フィールド
2列目:統一後のiOS18以下の入力フィールド
3列目:フェーズ3対応後のiOS26以上向け入力フィールド
最初はLiquidGlass向けの入力フィールドがiOS18以下のデザインにも合うとは思いもしませんでした、
いざ合わせてみると違和感がありませんね。
事例 14: Androidとのデザイン棲み分け
Androidのデザインに関しては、Liquid Glass がiOS独自のデザインシステムであるため、適用しない(棲み分けてデザインする) 方針としました。
おわりに
タップルでは、この機にいくつかの既存のカスタム実装を捨てて標準APIに全乗りする意思決定をしました。
デザイン主軸で対応が進められる機会もなかなかないので、とても良い機会でした。
画面によってばらつきのあったシートやナビゲーションのスタイルなどが統一され、
運用面での恩恵も多く受けました。
また、想定した以上にiOS26以上の不具合が多く出てきたので、早めに対応を進めることをお勧めします。
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この記事で学べること
- デザイン・方針がわかる
- 実装の参考になる
- バグ対応の参考になる
対応に困っていたり、なかなか温度感が上がらなかったりする方がいたら、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
- なぜやるのか
- デザインの変遷
- 対応期限
- 早めに対応を進めるべき理由
- 対応フロー
- 対応事例
なぜやるのか
Liquid Glassは、半透明のガラスのような質感と、光の反射・屈折を伴う動的なアニメーションが特徴です。
10年に1度のデザイン変更となっており、標準のデザインとして認知が進んでいます。
対応アプリも着々と増えており、Apple公式からもデザインギャラリーが公開されました。
私たちもその大きな流れに乗っていきます。

**

デザインの変遷
実際に、これまでのデザインの変遷を見てみましょう。
2007〜2013年:スキューモフィズムデザイン
iPhone登場時のデザインで、デジタル機器に不慣れな人 (初心者) にも使ってもらえるように立体感を持ち、リアリティの高いデザイン
2013〜2025年:フラットデザイン
影や立体感を排除したシンプルなUIにすることで、文字や写真などのコンテンツを主役としたデザイン
2025〜:リキッドグラスデザイン
実世界のガラスのように光を反射・屈折する半透明の新素材を使い、コンテンツへの注目を高めつつ、周囲に応じて変化するダイナミックなデザイン

デザイン刷新時の注意点
新しいデザインが浸透していく一方で、その流行に乗る際には注意すべきポイントが存在します。
過去の、スキューモフィズムデザインからフラットデザインへの変更時を振り返ります。
スキューモフィズムデザイン → フラットデザインの影響
- シンプルになったことで情報理解や開発効率が向上
- 立体感が失われたことで、どこがボタンやリンクなのか、ユーザーが直感的に理解しにくい
デザインの移り変わりの際には、これまでのデザインで培ったユーザーの価値観とのギャップが必ず生まれます。
立体感の強いスキューモフィズムデザインに慣れていたユーザーは、フラットデザインのオブジェクトの境界線の認知に慣れるまで多少の時間が必要でした。
この点を踏まえて、リキッドグラス移行でどの点に注意すべきかを考えます。
フラットデザイン → リキッドデザインの影響
Liquid Glass では、透過性と視認性のバランス**が重要です。
透過性やインタラクション(タップしたり、ホバーしたりする時のオブジェクトの動き) が強いため、以下3点に特に注意します。
① Liquid Glass Layerの上に乗った要素 (文字など) が見づらい
② オブジェクトとしての存在感は強いので、多用するとトーン&マナー(トンマナ)が崩れる
③ 重要機能のLiquid Glass対応は控えめにして、影響を最小限に
①の対策としては、透過性を下げられる箇所に関しては背景色を設定したり、ベース背景と同化しないように色を変えるなどします。※対応事例は後述
- 公式の推奨に従いつつ、視認性が損なわれる箇所は調整する
- ex. 公式セッションでは、.sheetでモーダルを表示する際には背景色を設定するpresentationBackground を外すように推奨されているが、敢えて使用して透過性を下げる。
② に関しては、対応可能なUIオブジェクトを洗い出してデザイナー陣に掲示。実際にアプリを配布して適用判断していきました。

左:標準APIにそのまま従ったもの
真ん中:背景色 (白100%) を追加したもの
右:背景色(白70%)を追加したもの
※リリース成果物とは部分的な差分があります
対応期限
Liquid Glass 対応には期限があります。
2025年のWWDCでは、次のメジャーアップデートで互換性フラグを廃止することを宣言しています。
As you evaluate your app’s UI and the time you need to adopt the new design, we’re providing an option to continue to use your app’s current design with Xcode 26.
We intend this option to be removed in the next major release.
We are so excited to see the transformative effects of Liquid Glass in your apps.
要約すると:
しばらく現在のデザインを維持するオプションを提供するけど、次のメジャーアップデート (2026/09) でこのオプションを消すよ。
※ UIDesignRequiresCompatibility = true → Liquid Glass を無効化早めに対応を進めるべき理由
Liquid Glass対応には、落とし穴がたくさんあります。
- iOS26未満と以上で同じAPIでも挙動が違う
- iOS26.X.Xの中でも、バージョンによって挙動が変わる
タブバーのAPIやセーフエリア、アニメーションの挙動など (後述)
- ナビバー、タブバーの高さがそれぞれ 44px→56px、49px→83px に
- 既存のカスタム実装と競合し、見た目や挙動が崩れる
- バージョンによっては、正しく使用しても、見た目や挙動が崩れる。特に26.0.X
- タブバーのタイトル・アイコンのカスタマイズが大きく制限される
メジャーアップデートと同時にLiquid Glass対応を終えるスケジュールでは、これらの落とし穴に十分対処できません。バグを含んだバージョンのリリースや、検証期間の不足による事業影響は無視するべきではありません。
対応フロー
いきなり完璧に対応したものをテスト・リリースするのは、リスクが大きいため段階的なリリースを設計します。
後になって、「やっぱりここも対応したいね」とズルズル対応にならないよう、しっかりと理想形を描いてそこを目指します。
※対応時期に関しては、当時の実際のものを書いています。
フェーズ1 (1月中旬)
1-a:タブの Liquid 化が主
1-b:それ以外の箇所は、Liquid化をせずレイアウトが崩れた部分を直す程度

※全て対応事例が後述されています。
1枚目:タブタイトルの色変更が効かなくなっています。バージョンによっては、アイコンの色が変わらないバージョンもあります。
3枚目:キーボードが丸みを持ち、透過するようになったことでデザインが崩れています。
4枚目:戻るボタンと、ユーザーステータスが同一のグルーピングUIにまとめられてしまっています。
5枚目:戻るボタンの右側に、余分な余白が入っていることがLiquidGlassの境界線によって可視化されています。
フェーズ2 (1月中旬 〜 2月中旬)
2-a:ナビゲーション・シートの Liquid 化が主
2-b:1-bでLiquid化しなかった箇所を、Liquid化。(入力フィールドなど)

1枚目:ナビゲーションが透過されるようにする
2枚目:シートの透過性が高いので、調整する
3枚目:キーボードの透過や丸みに合わせて、入力フィールドを調整する
フェーズ3 (2月中旬 〜 3月中旬)
3-a:適切な範囲で Full Liquid Glass 化
3-b:強制適用されない箇所も含めて調整を検討
タップルと Liquid Glass の世界観のバランスは崩さないように、クオリティ重視で進める

1枚目:結果的にHorizontalPagerのナビゲーションはLiquid化せず。FloatingButtonや通知バーなどをLiquid化
2枚目:検索バーのLiquid化
対応事例
事例 1: Tab / NavigationBar の背景
let appearance = UITabBarAppearance()
appearance.configureWithDefaultBackground()
let appearance = UINavigationBarAppearance()
appearance.configureWithDefaultBackground()事例 2: 入力フィールドの視認性

特に強調したいもの以外には使用すべきではない (公式ソース) が、背景と同化して見にくいため、tint で少し色付けします。
.regular.tint(Color)事例 3: テキストエディタとモーダル

左:テキストエディタとScrollViewの色の差異ができたので、直します。
.scrollContentBackground(.hidden)
真ん中:カスタムナビゲーションだったため、高さが合わずレイアウト崩れ
標準APIに置き換えます。
右:モーダルの透過性が高く、テキストやスライダーの視認性が悪いので背景色をつける
.presentationCornerRadius(CGFloat)
.presentationBackground(Color)
事例 4: あえて対応しないもの
現状、HorizontalPager に適した Liquid UI がないため、他サービスの対応状況を見て良いものがあれば参考にする予定です。

公式ドキュメントでは以下の透明化を防ぐAPIが紹介されている
- scrollEdgeEffectStyle(.hard, for: .top)
- scrollView.topEdgeEffect.style = .hard
事例 5: エッジスワイプで戻る時に、白いグラデーションが降りてくる iOS26.1 (23B85)

iOS26.2 (23C5044b) では治っていることを確認。アップデートを推奨
事例 6: glassEffectの評価で落ちる iOS26.0 beta 2 (23A5276f)
#5 View.glassEffect
#6 Hoge.body.getter ... Foo.swift:320パブリック・パブリックベータ・次のデベロッパベータのバージョンにアップデート
事例 7: コンテンツがセーフエリアを超えない

UIKit を使っている画面では、xib上のアンカーをview.topにしても
セーフエリアを超えて描画されない箇所が見られました。
edgesForExtendedLayout = [.top, .bottom]
extendedLayoutIncludesOpaqueBars = trueまた、UIKitもSwiftUIもトップコンテンツがScrollViewかつ余白が入っていなければ
自動でナビゲーションを超えて描画してくれるようになっています。
ScrollView { } // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見える
VStack { ScrollView } // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見えない
ScrollView { }.padding(.top, 1) // ナビゲーション下でもコンテンツが透けて見えない
もしも不要なStackやpaddingがあるせいでignoreSafeArea等を使用しているのであれば、
まずはStackやpadding, ignoreSafeAreaの除去を試みてください。
事例 8: TabIconとTabTitleがくっつく iOS26.0 beta 2 (23A5276f)
パブリック・パブリックベータ・次のデベロッパベータのバージョンにアップデート
事例 9: 非選択時のTabIconの色が変わらない iOS 26.0 ~
どの標準APIを触っても、タブやアイコンの色変更に制限がかかるようになりました。
タブが透過する仕様上、視認性の観点から制限がかかっていると推測しますが、サービスとして看過できないためどうにかして色を変えます。
withRenderingMode(.alwaysTemplate)
+
UITabBarItemAppearance.normal.iconColor = ...alwaysTemplateとAppearanceで変えていた色を、
あらかじめ色を変更した画像と alwaysOriginal の組み合わせによって色を変更しました。
image.tintedImage(...)
+
.withRenderingMode(.alwaysOriginal)
バージョンアップデートが進むと、今度はタブタイトルの色変更ができなくなっていました。

デザイン上、どうしても対応したいという要望もあったため、
アイコンにタイトルを含めることで対応しました。
事例 10: 戻るボタンに余分な余白が入る
明確な縁が描画される都合上、iOS26未満で見えなかったレイヤ構造が可視化されるようになりました。
このケースでは、ナビの戻るボタンの共通実装に半角スペースが入っていたことが原因でした。
backBarButton.title = " " // これが原因
self.navigationItem.backBarButtonItem = backBarButton事例 11: List.swipeActionsのアニメーション崩れ
leading, trailingを付けて左右にスワイプすると、List上部が潰れる

こちらはやむなしで潰れる分上に上げて、クリップするようにしました。
事例 12: ナビアイコンにつけているバッジがクリップされる
Liquid Glassの仕様でクリップされてしまうので、バッジのデザインそのものを変更

左:iOS26以上でバッジが見切れていることがわかる
右:iOS26以上における通知有効時のUIを刷新
.buttonStyle(.glassProminent) // Navに配置したボタンのGlassLayerの色付け
事例 13: OSバージョンごとのデザインを統一
以下の観点から、デザインは極力統一できるように心がけました。
- デザインコスト
- 実装コスト
- デバッグコスト
タップルでも、途中まではiOS26未満と以上でデザインを分けていましたが、一部を除いて統一する意思決定をしました。

1列目:統一前のiOS18以下の入力フィールド
2列目:統一後のiOS18以下の入力フィールド
3列目:フェーズ3対応後のiOS26以上向け入力フィールド
最初はLiquidGlass向けの入力フィールドがiOS18以下のデザインにも合うとは思いもしませんでしたが、
いざ合わせてみると違和感がありませんね。
事例 14: Androidとのデザイン棲み分け
Androidのデザインに関しては、Liquid Glass がiOS独自のデザインシステムであるため、適用しない(棲み分けてデザインする) 方針としました。
おわりに
タップルでは、この機にいくつかの既存のカスタム実装を捨てて標準APIに全乗りする意思決定をしました。
デザイン主軸で対応が進められる機会もなかなかないので、とても良い機会でした。
画面によってばらつきのあったシートやナビゲーションのスタイルなどが統一され、
運用面での恩恵も多く受けました。
また、想定した以上にiOS26以上の不具合が多く出てきたので、早めに対応を進めることをお勧めします。