月100億トークン使うビズリーチ 「AIコスト増」懸念の中、費用対効果どう判断しているのか
本文の状態
日本語全文を表示中
詳細モードで約6分の本文を読めます。
同じ出来事の情報源
この情報源を基点に整理
ITmedia AI+
ビズリーチは月間100億トークンの利用規模でAIコスト増への懸念を示しつつ、利用率95%超えと組織再設計の必要性を強調し、費用対効果の評価基準を模索している。
AI深層分析を開く2026年8月3日 09:55
AI深層分析
キーポイント
AI利用のフェーズ転換
ビズリーチは個人活用から全社展開へ移行し、現在は組織全体のパラダイムシフトを目指す「組織成果」フェーズに直面している。
膨大なトークン消費とコスト懸念
同社は月間約100億トークンを消費しており、AI利用の拡大に伴う費用対効果の評価が主要な課題となっている。
利用率と質の乖離
全社員の95%以上が週3回以上利用する高い定着率を達成したが、業務工数削減などの個別成果は組織全体では10〜20%にとどまっている。
組織再設計の必要性
単なる改善に留まらず革命を実現するためには、AI前提で組織を再設計する必要があると外山氏は主張している。
AI活用の3段階と組織再設計の必要性
ビズリーチは個人活用から全社展開を経て、現在はAI前提での組織再設計による成果創出フェーズにある。現状では業務ごとに大幅な改善が見られるが、会社全体では10〜20%程度にとどまっており、真のパラダイムシフトには組織の再設計が必要である。
重要な引用
「AIの使用量が増えるほど、生産性も伸びる傾向がある」
「会社全体で見ると10~20%程度の改善にとどまるケースが多い。これでは『革命』というより『改善』です。」
「AIへの投資がこれだけ進むのであれば『組織全体がパラダイムシフトした』といえるレベルまで変えなければなりません」
「会社全体で見ると10~20%程度の改善にとどまるケースが多い。これでは『革命』というより『改善』です」
編集コメントを表示
編集コメント
生成AIの導入が定着した後の課題として、コスト管理と組織変革の重要性を浮き彫りにしている。単なるツールの利用率向上を超え、ビジネスモデルや組織構造そのものの見直しが必要であることを示唆する実例である。
Source Article
元記事を日本語で読む
本文に関係しない購読案内、埋め込み通知、サイト内プロモーションは除いています。
少し前まで「生成AIをいかに導入するか」「利用率をどう上げるか」が企業の課題だった。導入や定着が進んだいま、次に直面するのが「AI利用の費用対効果をどのように評価するか」という問題だ。
AIエージェントなど高度な利用が広がるにつれて、AIの処理量を指す「トークン」の消費量が増える。AIサービスの利用料がかさむ中で「AI活用の推進」と「ビジネスの成果」の板ばさみになり、頭を抱える推進担当者もいるだろう。
そうした課題に対して、1人で月間約100億トークンを消費するビズリーチの外山英幸氏(執行役員 CTO/DX本部 本部長)は「AIの使用量が増えるほど、生産性も伸びる傾向がある」と話す。では、その「生産性の改善」が投資に見合うビジネス成果につながっていると判断するにはどうすればよいのか。
ビズリーチの外山氏と、AIサービス提供者の立場であるOpenAI Japanの宇都宮聖子氏(ソリューションズエンジニア)が意見を交わした。
左から司会、OpenAI Japanの宇都宮聖子氏、ビズリーチの外山英幸氏(撮影:濱川太一)
本記事は人材サービスのビズリーチ主催イベント「BizReach Conference」(7月1~2日開催)の講演「AI時代のキャリア論──OpenAI Japanとビズリーチが語る、生産性が大きく向上する時代の『組織』と『キャリア』」を基に構成したもの。
目次
全社員にAI配布 利用率95%超えも「質はどうなのか」
――ビズリーチでは、AI活用をどのように進めてきましたか。
外山氏 AI活用は3つの段階があると考えています。最初は「個人活用」です。社員一人一人が自分の業務でAIを使う段階ですね。
当社では、約1年半前から全社員が「Gemini」を利用できるようにし「まずは使ってください」と利用を促してきました。その結果、週3回以上利用する社員が95%を超えるまで利用率は上がりました。
ただ、その次に見えてきたのが「量は増えたけれど、質はどうなのか」という課題です。そこで推進役となる「AIチャンピオン」を設けたり、コンテストを開催したり、コミュニティー内で活用事例を共有したりして、この1年は「良い使い方を組織全体へ広げる『全社展開』」に取り組みました。
いま、われわれが直面している課題であり、取り組んでいるのが、全社展開の先にある「組織成果」です。AI前提で組織を再設計して成果を出すフェーズです。
業務の一部では「工数80%削減」「生産性200%向上」といった成果は出ています。ただ、会社全体で見ると10~20%程度の改善にとどまるケースが多い。これでは「革命」というより「改善」です。
AIへの投資がこれだけ進むのであれば「組織全体がパラダイムシフトした」といえるレベルまで変えなければなりません。そのために、組織を設計し直す必要があると考えています。
ビズリーチの外山氏(撮影:濱川太一)
月100億トークン使って見えてきたこと
――AI利用量も非常に多いそうですね。
外山氏 当社は、OpenAIのAIコーディングツール「Codex」を活用しています。私自身も、1カ月で100億トークンほど使っています。
会員登録(無料) が必要です
続きを読むには、[続きを読む] ボタンを押して会員登録あるいはログインしてください。
(外山氏が室長を務める、AIによるプロダクト創出を手掛ける組織である)「AI Product Studio室」では、AI利用量とプロダクト開発の生産性を継続的にチェックしています。AIを使う量が増えるほど、生産性も伸びる傾向が確認できています。
これはまだまだ伸びると思っています。この取り組みを1部門だけで終わらせず、会社全体に展開したいと考えています。
宇都宮氏 Codexは、ソフトウェア開発に携わるエンジニア向けにリリースしたプロダクトです。例えば、日常の複雑なタスクを自動化して「自分はボタンを押すだけ」というイメージですね。
メールの自動返信やデータ分析、商談システムの更新など、さまざまなエージェントが自分と同期せず、24時間眠らずに動いています。多数のエージェントをいかに多く動かせるのかが、社員の生産性を向上させる鍵の一つになると思います。
――「個人のAI利用は増えたが、チームの成果にどうつながるのか」という疑問を持つ企業もあります。AI投資はどう評価すればよいでしょうか。
宇都宮氏 先ほどお話にあった「トークン数」は、AIに対して入力したテキストの量や、出力されたデータ量を表す一つの指標です。
見るべきなのは(トークン数の量ではなく)「売り上げが伸びたか」「採用人数が増えたか」といったビジネスのKPIです。OpenAI Japanはまだ小さな組織ですが「売り上げを伸ばせているかどうか」など、事業成果で(AI利用の成果を)見ています。
外山氏 AI投資をどう評価するか――これは難しいテーマです。「アウトプットではなく、売り上げや契約数といったアウトカムで評価すべきだ」というのが理想でしょう。
ただ、現時点ではアウトカムだけを見るのは難しい面もあります。まずはアウトプットで測ればよいと思っています。例えばプロダクト開発なら、ソースコードの変更点を通知する「プルリクエスト」の数は分かりやすいアウトプットです。チーム全体でアウトプットが増えているかを確認することから始めればよいでしょう。
AIによってアウトプット量は確実に増えますし、開発サイクルも短くなります。すると、先週出した機能がどうだったかを翌週に確認し、その結果を踏まえて次の改善につなげる、といったサイクルを回しやすくなります。
原文を表示
少し前まで「生成AIをいかに導入するか」「利用率をどう上げるか」が企業の課題だった。導入や定着が進んだいま、次に直面するのが「AI利用の費用対効果をどのように評価するか」という問題だ。
AIエージェントなど高度な利用が広がるにつれて、AIの処理量を指す「トークン」の消費量が増える。AIサービスの利用料がかさむ中で「AI活用の推進」と「ビジネスの成果」の板ばさみになり、頭を抱える推進担当者もいるだろう。
そうした課題に対して、1人で月間約100億トークンを消費するビズリーチの外山英幸氏(執行役員 CTO/DX本部 本部長)は「AIの使用量が増えるほど、生産性も伸びる傾向がある」と話す。では、その「生産性の改善」が投資に見合うビジネス成果につながっていると判断するにはどうすればよいのか。
ビズリーチの外山氏と、AIサービス提供者の立場であるOpenAI Japanの宇都宮聖子氏(ソリューションズエンジニア)が意見を交わした。
左から司会、OpenAI Japanの宇都宮聖子氏、ビズリーチの外山英幸氏(撮影:濱川太一)
本記事は人材サービスのビズリーチ主催イベント「BizReach Conference」(7月1~2日開催)の講演「AI時代のキャリア論──OpenAI Japanとビズリーチが語る、生産性が大きく向上する時代の『組織』と『キャリア』」を基に構成したもの。
目次
- 全社員にAI配布 利用率95%超えも「質はどうなのか」
- 月100億トークン使って見えてきたこと
- AI活用で「逆に疲れた」 利用を定着させるには?
- 「AI時代に評価される人材」になるために 明日からできること
全社員にAI配布 利用率95%超えも「質はどうなのか」
――ビズリーチでは、AI活用をどのように進めてきましたか。
外山氏 AI活用は3つの段階があると考えています。最初は「個人活用」です。社員一人一人が自分の業務でAIを使う段階ですね。
当社では、約1年半前から全社員が「Gemini」を利用できるようにし「まずは使ってください」と利用を促してきました。その結果、週3回以上利用する社員が95%を超えるまで利用率は上がりました。
ただ、その次に見えてきたのが「量は増えたけれど、質はどうなのか」という課題です。そこで推進役となる「AIチャンピオン」を設けたり、コンテストを開催したり、コミュニティー内で活用事例を共有したりして、この1年は「良い使い方を組織全体へ広げる『全社展開』」に取り組みました。
いま、われわれが直面している課題であり、取り組んでいるのが、全社展開の先にある「組織成果」です。AI前提で組織を再設計して成果を出すフェーズです。
業務の一部では「工数80%削減」「生産性200%向上」といった成果は出ています。ただ、会社全体で見ると10~20%程度の改善にとどまるケースが多い。これでは「革命」というより「改善」です。
AIへの投資がこれだけ進むのであれば「組織全体がパラダイムシフトした」といえるレベルまで変えなければなりません。そのために、組織を設計し直す必要があると考えています。
ビズリーチの外山氏(撮影:濱川太一)
月100億トークン使って見えてきたこと
――AI利用量も非常に多いそうですね。
外山氏 当社は、OpenAIのAIコーディングツール「Codex」を活用しています。私自身も、1カ月で100億トークンほど使っています。
会員登録(無料) が必要です
続きを読むには、[続きを読む] ボタンを押して会員登録あるいはログインしてください。
(外山氏が室長を務める、AIによるプロダクト創出を手掛ける組織である)「AI Product Studio室」では、AI利用量とプロダクト開発の生産性を継続的にチェックしています。AIを使う量が増えるほど、生産性も伸びる傾向が確認できています。
これはまだまだ伸びると思っています。この取り組みを1部門だけで終わらせず、会社全体に展開したいと考えています。
宇都宮氏 Codexは、ソフトウェア開発に携わるエンジニア向けにリリースしたプロダクトです。例えば、日常の複雑なタスクを自動化して「自分はボタンを押すだけ」というイメージですね。
メールの自動返信やデータ分析、商談システムの更新など、さまざまなエージェントが自分と同期せず、24時間眠らずに動いています。多数のエージェントをいかに多く動かせるのかが、社員の生産性を向上させる鍵の一つになると思います。
――「個人のAI利用は増えたが、チームの成果にどうつながるのか」という疑問を持つ企業もあります。AI投資はどう評価すればよいでしょうか。
宇都宮氏 先ほどお話にあった「トークン数」は、AIに対して入力したテキストの量や、出力されたデータ量を表す一つの指標です。
見るべきなのは(トークン数の量ではなく)「売り上げが伸びたか」「採用人数が増えたか」といったビジネスのKPIです。OpenAI Japanはまだ小さな組織ですが「売り上げを伸ばせているかどうか」など、事業成果で(AI利用の成果を)見ています。
外山氏 AI投資をどう評価するか――これは難しいテーマです。「アウトプットではなく、売り上げや契約数といったアウトカムで評価すべきだ」というのが理想でしょう。
ただ、現時点ではアウトカムだけを見るのは難しい面もあります。まずはアウトプットで測ればよいと思っています。例えばプロダクト開発なら、ソースコードの変更点を通知する「プルリクエスト」の数は分かりやすいアウトプットです。チーム全体でアウトプットが増えているかを確認することから始めればよいでしょう。
AIによってアウトプット量は確実に増えますし、開発サイクルも短くなります。すると、先週出した機能がどうだったかを翌週に確認し、その結果を踏まえて次の改善につなげる、といったサイクルを回しやすくなります。
関連記事
今日のまとめ
AIデイリーブリーフで今日の重要ニュースをまとめ読み