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OpenGov が構築・拡大した OG Assist の実運用事例
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まず要点
OpenGov のエンジニアが、Effect を基盤とした独自エージェントループの構築から、A2A プロトコル、サンドボックス、評価・監視に至るまでの実運用事例を詳述。
本番導入への道:OpenGov が「OG Assist」を安全にスケールさせた独自アーキテクチャの秘密
政府向け ERP ソフトウェア企業である OpenGov は、顧客向け AI エージェント「OG Assist」の開発と運用において、既存のフレームワークへの依存から脱却し、TypeScript の Effect ライブラリを活用した独自ループを構築しました。この事例は、単なるプロトタイプ段階を超え、セキュリティと観測性を徹底して担保した本番環境での AI エージェント運用における具体的なベストプラクティスを示しています。
既存フレームワークからの脱却:Effect ベースの完全制御
OpenGov のエンジニアチームが直面したのは、大規模化に伴う複雑なユースケースへの対応でした。当初は LangGraph を使用していましたが、スケールするにつれ「完全な制御権」を持つ必要性を痛感しました。そこで選んだのが、TypeScript 向けのオープンソースライブラリである「Effect」です。
「Agent Loop を構築することで、もし複雑なユースケースや機能が必要になった場合、私たちはそれらを構築する必要があり、その際 Agent Loop の完全に制御できるようになります。」
LangGraph から Effect Native エージェントループへ移行した最大のメリットは、トレーシング、構造化された並行処理、ロギングなどの機能がループ全体に波及し、細粒度な制御が可能になった点です。Effect AI パッケージを活用することで、チャットや言語モデルの依存性注入を柔軟に行い、ホットスワップ(モデルの差し替え)も容易になりました。これにより、チームはレバーをすべて握り、モデルの真の能力を引き出す完全なポテンシャルを手に入れています。
厳格な契約:A2A プロトコルによるフロント・バックエンド連携
エージェント間の通信には、Google が策定した「Agent-to-Agent (A2A) プロトコル」を採用しました。これは単なる仕様書ではなく、フロントエンドとバックエンド双方が消費・生成する「厳格な契約」として機能しています。
A2A では「エージェントカード」に名前や説明などのメタデータを定義し、開発の整合性を高めています。プロトコルには拡張性があり、メタデータの追加や A2UI(ユーザーインターフェースの標準化)など、多様な機能をサポートします。この厳格な仕様に従うことで、システム間のアライメントが強化され、安定した連携が可能になりました。
安全性の担保:サンドボックスとヒューマン・イン・ザ・ループ
本番環境で AI エージェントを運用する上で最も重要なのが「安全性」です。OpenGov は以下の 2 つの仕組みにより、リスクを最小化しています。
コード実行の隔離(サンドボックス)
エージェントがコードを実行したりファイルを作成したりする場合、すべては安全で一時的な隔離された空間である「サンドボックス内」で行われます。例えば、「PDF を作成してダウンロードできるように」というリクエストに対し、エージェントはサンドボックス内で誠実に処理を行い、結果のみをユーザーに提供します。処理後は自動的に破棄(tear down)されるため、本番システムへのリスクは一切ありません。
変更操作の承認フロー(ヒューマン・イン・ザ・ループ)
データの変更や重要な操作を行う際、エージェントは決定論的にループを中断し、人間の承認を待ちます。UI 上で「受け入れ」または「拒否」を選択できる仕組みにより、ユーザーがエージェントの行動を明示的にコントロールできます。
「特にエージェントが変異操作を行おうとする際は常に、人間が運転席に座っていることを確認しています。」
この仕組みは、信頼関係を築きながら安全性を担保する上で不可欠な要素となっています。
観測性と評価:見えないものはスケールできない
「見えないものはスケールできません」という言葉通り、OpenGov は Effect の自動トレーシング機能を活用した強力な観測性を実現しています。Effect を使用すると、関数呼び出しの詳細なドリルダウンやスパンのタグ付けが自動的に発生し、API 呼び出しからエラー発生までの経路を可視化できます。
また、開発プロセスには以下の評価システムを組み込んでいます。
- ユーザーフィードバック: 「いいね」「よくないね」のボタンにより、即座に改善点を収集しています。
- 自動評価(Evals): CI 環境内で実際の完成文に対してテストを実行。プロンプトが意図したツールを呼び出したか、正しい動作をしたかを検証します。
これらを組み合わせることで、ツールの改善やスキル向上を迅速に反復し、エージェントの精度を継続的に高めています。
コンテキスト管理と生成 UI:長文会話と動的なインターフェース
長い会話におけるトークン制限という課題に対し、OpenGov は「ローリングサマライゼーション」を採用しています。一定数のメッセージごとに進行中の要約を出力し、直近のメッセージのみを参照する仕組みです。また、過去の会話内容を検索できる「記憶コンポーネント」を備えることで、「前に話してたあれ」のような文脈の保持も可能にしました。
さらに、エージェントがその場で UI を生成する「生成型 UI」の実現にも成功しています。ユーザーからのリクエストに応じて、ランタイムでフォームや選択肢を動的に構築・レンダリングすることで、よりパーソナライズされた臨場感のある体験を提供しています。
開発者生産性の向上:社内での AI 活用
OG Assist の構築を通じて得た知見は、顧客向けサービスだけでなく、社内の開発ワークフローにも還元されています。Claude や Cursor などの AI ツールを活用し、コードの読み書き、レビュー、リリースプロセスを加速。ツールとスキルこそがすべてであるという信念のもと、社内でもエージェントを積極的に導入することで、開発スピードの向上を実現しています。
OpenGov の事例は、AI エージェントを単なる実験室の成果物から、堅牢な観測性と評価システムを備えた本番導入へと移行させるための重要な指針となっています。完全な制御権を持つ独自ループと、安全性への徹底的なこだわりが、大規模エンタープライズ環境における AI 活用の成功を可能にしています。
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