動画記事 · AI Engineer
AI エージェントにウォレットが必須 USDC とナノペイメントの役割
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まず要点
AI エージェントが自律的に決済を行うために、USDC とナノペイメント技術を用いたウォレット基盤の必要性と実証デモを解説する。
AI エージェントにウォレットが必須:ナノペイメントが切り拓く自律経済の未来
Circle のエンジニア、ハーシャル・バンガレ氏は、AI エージェントが真に自律化するためには、従来の人間向け決済インフラではなく、低コストで高速な「ナノペイメント」が必要だと断言しました。2026 年にはエージェントによる有料 API 利用やマイクロトランザクションが主流となり、現在のクレジットカード決済では手数料と遅延がボトルネックとなるのです。
エージェント経済のボトルネック:なぜ人間向け決済は通用しないのか
私たちが AI エージェントをより賢くするために注目しがちなのは、モデルの精度向上や複雑なオーケストレーションです。しかし、実務においてエージェントが最も行き詰まるのは「支払い」が必要な瞬間です。
過去 30 年間、インターネットと決済システムはすべて「人間」という顧客のために設計されてきました。サインアップフロー、クレジットカード情報の入力、API キーの管理など、人間が介在するプロセスが前提となっています。しかし、AI エージェントはそんな振る舞い方をするようには作られていません。
エージェントはデータや計算リソースを人間の比にならない規模で消費します。彼らが欲しいのは特定のデータの断片一つであっても、それを取得するために「10 セント」を支払うような、極めて頻繁かつ小額の取引が必要なのです。
クレジットカード決済では、1 セントの取引に対して 3% の手数料がかかるモデルは成立しません。また、認証プロセスや承認待ちによる遅延も、エージェントが連続して API を呼び出すという特性には致命的な欠陥です。このため、エージェントは支払いが必要なポイントでタスクを中断し、結局人間が介入する必要があるのです。
2026 年の転換点:ナノペイメントと USDC の役割
バンガレ氏は、2023 年はプロンプトによる対話、2024 年はワークフローの構築、2025 年は MCP(モデル・コンポーネント・プロトコル)やスキル連携が主流でしたが、2026 年こそがエージェント自身がサービスにお金を払う時代になると予測しています。
実際、直近 30 日間で AI エージェントが行った有料 API 利用の取引額は約 2400 万ドルに達しており、その 99% が USDC(Circle が発行するステーブルコイン)で決済されています。これは「X102」という規格を通じて実現されたもので、サーバーが 402 ヘッダーを返すことで支払い方法を提示し、エージェントがウォレットから署名して即時に支払う仕組みです。
エージェントに必要な決済は、インターネットそのもののようにリアルタイムで、低コストで、プログラム可能であり、常に稼働しているものであるべきです。
Circle はこの課題を解決するために「ナノペイメント」技術を構築しました。これはサブセント(1 セント未満)単位の取引に対応し、最低 0.000001 ドル(1 マイクロセント)からの決済が可能です。従来のブロックチェーンではガス代が交易費の大半を占めたり、ネットワーク混雑で遅延が生じたりする問題がありましたが、Circle のナノペイメントインフラは販売者側にはガス代がかからず、クロスチェーンでの即時決済を実現しています。
自律的タスク実行デモ:人間が介入しない完全自動化
この技術の実証として行われたデモでは、2 つの AI エージェントが「FIFA ワールドカップ決勝戦への旅行計画」を同時に実行する様子が示されました。片方は通常の Claude(ウォレットなし)、もう片方は Circle のエージェントウォレットを搭載した Claude です。
タスク内容は以下の通りです:
- 航空券、ホテル、物流の要約
- アルゼンチンの決勝進出確率や対戦相手の予測
- セカンドマーケットのチケット価格調査
- スタジアムの体験談(Reddit など)の収集
- 結果をメールで送信し、必要に応じて電話で報告
ウォレットなしのエージェントは、リサーチを進める中で「メールを送信する」「電話をかける」というタスクに直面した瞬間に行き詰まりました。Gmail のドラフト作成まではできても、実際に送信したり、外部の API を利用して電話をかけたりする権限や支払い手段がないためです。
一方、ウォレット搭載のエージェントは、設定されたガードレール(例:1 回のセッションで最大 15 セントまで)内で自律的に支払いを行いました。Poly Market のデータ取得には Block Run を経由し、10 セント未満の料金を USDC で即時決済。さらに、外部サービスへの API 呼び出しもすべてウォレットから自動で資金を移動させて実行しました。
結果として、ウォレット搭載のエージェントは人間が一切介入することなく、リサーチ完了後のメール送信と電話による報告までを完遂しました。デモ終了後、実際にエージェントからの電話が入り、「メトロライフ・スタジアムへの行き方」や「空港の遅延情報」などの詳細な報告が行われたのです。
結論:新たなビジネスモデルが生まれる時
このデモは、AI エージェントにウォレットとナノペイメントを付与することで、人間の手を借りずに複雑なタスクを完遂できることを証明しました。ブロックチェーンのガス代や遅延という課題を解決した Circle のインフラは、エージェントが「データの一部」や「計算リソース」を細かく購入する経済圏を可能にします。
これにより、従来の大規模なサブスクリプションモデルではなく、「10 セントでこのデータだけ買える」といったマイクロトランザクションベースの新たなビジネスモデルと収益化の機会が創出されるでしょう。AI エージェントが真に自律した存在となるためには、ウォレットとナノペイメントが不可欠なインフラなのです。
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